目標はノルマではない本当にかなえたいものを設定すべし
2つ目は、目標を設定するときには、他人の意見に耳を貸してはいけないということだ。「みんなが○○の資格をとる勉強をしているから、俺もそれにしておくか」という目標ではいけないのだ。他人から押し付けられた目標では、さっぱりやる気が出ないのである。せっかく目標を立ててみたものの、全然やる気が出ないのだとしたら、それは自分自身がほんとうにかなえたい目標なのではなく、他人の意見などに影響された、ニセモノの目標なのだと疑ってみたほうがいい。そういう場合には、自分が本当にかなえたい目標に切り替えてしまおう。
アメリカの鮮魚加工工場で行われた興味深い実験がある。カリフォルニア州にあるチャップマン大学の心理学者ケネス・デールをはじめとするグループが、従業員たちに50匹の鮮魚をできるだけ早く加工させ、その時間を測定した。ただし、実験に先立って次のような条件が割り当てられた。
(1)自分で、どれくらいの時間で終わらせるかの目標を決める
(2)他人に決められた目標で取り組む
(3)目標なし
その結果、自分で目標を決めたときには、平均して538秒で作業が終わった。他人に目標を決められたときには、平均570秒もかかった。目標がないままに漠然と作業を開始したグループでは、なんと平均702秒もかかった。
この実験でわかることは、他人から与えられた目標は、目標がないときよりは効果があるが、自分自身で決めた目標にはかなわないということである。「他人がどう思おうが、知ったこっちゃない。今年の俺は、これを目標にするんだ!」。こうやって自ら設定した目標のほうが、結局のところは達成しやすいといえよう。
目標というのは仕事上のノルマではない。自分がかなえたいものを決めてよいのである。「そうは言っても、俺には自分でやりたいことなんてないからなぁ……」という人は、無理に目標など立てようとしないことである。そういう目標は達成できずに、「俺は何をやっても失敗するんだな」などと自己嫌悪に陥るのがオチだからである。