本来なら自民党は負けるはずのない選挙

この結果、本来なら自民党は負けるはずのない選挙で、勝敗が見通せない状態に追い込まれている。先ほど紹介した4知事選のすべてで自民党が推す候補が敗れるわけではないだろうが、いくつか取りこぼせば空気は悪くなる。さらに大阪12区に加えて沖縄3区の衆院補選も楽観できない。

4知事選は、もともと自民党支持層の中での争いだ。今回自民党が推す候補が敗れても、1、2年たつ間に勝った知事と自民党の関係は改善されることも考えられる。そういう意味ではどちらが勝っても影響は限定的という見方もあるだろう。

しかし、結果として敗北がつくということは、7月の参院選に向けて勢いをそがれるのは間違いない。

また、知事選で「分裂選挙」を行った感情的しこりが残れば参院選でも挙党態勢をとれなくなる可能性がある。

安倍自民党は「身内の戦い」に弱いという仮説

ここまで書いてきたことでお気づきの人もいることだろう。知事選の地方選の多くは「野党不在」だ。11ある知事選で、自民系と複数の野党が推す候補が戦う「与野党対決型」といえるのは北海道知事選ぐらい。「安倍1強」の中、野党はこの4年間、中央でも地方でも浮上の目をつかめていない。ただし、この野党の低迷が、今回の統一地方選での保守分裂を生んでいるというのは皮肉な展開だ。

自民党幹部はこうつぶやくのだ。「野党相手の戦いならば戦い方も心得ているし、負ける気はしない。しかし身内が相手となると話は変わってくる」。

安倍氏は2012年暮れに政権に戻ってから6年余。衆院選、参院選などで連戦連勝しているが、小池百合子氏が出馬した16年の都知事選、小池氏が「都民ファーストの会」を率いて挑んだ翌年の東京都議選では、ともに惨敗している。

小池氏は都知事選に出馬する前は自民党所属の衆院議員で、自民党支持層の多くも小池氏になびいた。こちらも「保守分裂選挙」といってもいい。安倍自民党が保守分裂による身内の戦いに弱いという仮説に立てば、統一地方選は思わぬ傷を負うことになるかもしれない。

(写真=時事通信フォト)
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