申告に使った領収書は「5年間」保存する
医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。会社勤めの方や年金収入者は、「申告書A」という用紙を使って申告を行います。このほかに、医療費の内容を書き込むための専用の用紙が必要です。従来の医療費控除を申告する方は、「医療費控除の明細書」を、セルフメディケーション税制を使う方は、「セルフメディケーション税制の明細書」を手に入れましょう。これらの用紙は、税務署でもらうか、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
では、どのように申告を行えばよいか、それぞれ見ていきましょう。
① 従来の医療費控除を受ける場合
従来の医療費控除を受ける場合は、医療費の通知書(お知らせ)と医療費の領収書を用意します。それらを見て、「医療費控除の明細書」に医療費の金額を書き込み、医療費控除額を計算します。
医療費の通知書を使ったときは明細を書き込む必要はありませんが(明細の代わりとして通知書を使用するため)、医療費の通知書にない分については、各人別・医療機関別に、明細書に記入していくことになります。また、医療費の通知書を使わずに、すべて領収書で計算することも可能です。
領収書については、以前は明細書に添付して提出する必要がありましたが、現在では不要になっています(平成31年分までは経過措置があり、領収書を添付して提出することも可能)。ただし、医療費の通知書は例外です。医療費の通知書を使って医療費を計算した場合には、使った通知書を添付することになっています。領収書で計算した分については、自宅でその領収書を5年間保存します。
②セルフメディケーション税制の場合
セルフメディケーション税制を受ける場合は、「セルフメディケーション税制の明細書」に、申告者本人が健康の保持・増進、疾病予防に取り組んだことを証明する領収書、結果通知書、予防接種済書などを添付して提出する必要があります。明細書には、薬局ごとに購入した医薬品の名前を書き込んで合計額を計算します。買った市販薬の領収書の添付は不要ですが、自宅で5年間保存しておくようにしましょう。
申告の際は、まず「医療費控除の明細書」や、「セルフメディケーション税制の明細書」から書き込んでいき、明細書の中で控除額を計算し、その金額を申告書に転記するという流れになります。
公認会計士・税理士
中央大学商学部卒業。外資系監査法人、経営コンサルタント会社を経て、現在、渡辺公認会計士事務所所長。中小企業の経営・税務の指導にあたるとともに、株式公開、相続対策セミナーの講師などを担当し、幅広く対応。著書に累計75万部を突破したシリーズ『自分ですらすらできる確定申告の書き方』(KADOKAWA)がある。