学童保育の設置数は、今や小学校数より多い

学童保育の充実・発展を求める全国の親たちの連絡組織として「全国学童保育連絡協議会(全国連協)」がつくられたのは1967年のことです。その後、学童保育への公的支援と法制化を求める国民運動(1975年の50万人署名、1985年の100万人署名など)が高まり、1997年になってやっと児童福祉法が改正されました。その中に初めて学童保育が「放課後児童健全育成事業」(第6条)として書き込まれたのです。

法制化によってその後学童保育の設置数は急速に増加し、全国連協の最初の調査時(1967年に515カ所)、児童福祉法に法制化時(1997年に9048カ所)、2018年5月現在では「カ所数」2万3315カ所、「支援の単位数」3万1265カ所(全国連協調査)となり、今や小学校の数(1万9892校)より多い時代になりました。

法制化以降の急速な増加にもかかわらず、学童保育はその需要に追い付かず、いまなお学童保育に入れない待機児童が約1万7000人(全国連協調べ1万6957人、厚労省調べ1万7279人、ただし正確な数は把握されていない)いるといわれています。政府は、女性就業率の上昇を踏まえ、2023年末までに計30万人分の受け皿を整備するという方針を出していますが、学童保育の量的拡大の実現は急務です。

学童には「放課後児童支援員」が必ず必要

学童保育の今日的課題は、まず量的拡大にありますが、質的向上の課題も見逃せません。質の向上という点では、学童保育の支援員の専門性の向上と施設環境の改善にむけて、2014年5月に厚生労働省令(「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」以下省令基準)が出されるともに「放課後児童クラブ運営指針」(2015年3月)が定められたことに注目しておきたいと思います。

学童保育の大規模化の解消にむけて「おおむね40人以下」「児童一人につきおおむね1.65平方メートル以上」とする省令基準にしたがい、分割(「支援の単位」化)が進んでいます。そこには「2人以上」の支援員を配置すること、そして専門職としての研修(16科目24時間)を経た有資格者としての「放課後児童支援員」を必ず1名配置することが義務づけられました。

しかし現在、支援員の確保の困難を理由とする自治体の要望を受け入れて政府内(地方分権改革有識者会議)では「基準の引き下げ」(「守るべき基準」から「参酌すべき基準」への変更)の方向が選択され、基準緩和の改革法案が準備されている状況です。学童保育の質的向上に向けての歩みが始まったばかりであるにもかかわらず、大きな岐路に直面しています。