条件が満たされないと普天間基地は返還されず、継続使用される

米国会計検査院(GAO)は、辺野古新基地の滑走路は1800メートルで「固定翼機の訓練や緊急時に対応できない」として民間施設12カ所を候補地に挙げ、そのうち1か所を沖縄県内としている。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/DarcyMaulsby)

稲田防衛相は沖縄県内の民間施設について言及を避けたが、米軍普天間飛行場(2800メートル)と同規模の滑走路を持つ県内の飛行場は、那覇空港(3000メートル)と現在建設中の第二滑走路(2700メートル)、そして宮古市の下地島空港(3000メートル)だけである。「緊急時における使用」であることを考えれば那覇空港しかない。

翁長前知事は17年7月の県議会で「(米軍には)那覇空港は絶対に使わせない」(『沖縄タイムス』同年7月6日付)と答弁した。

辺野古新基地が完成しても、これら8項目の条件が満たされない限り、米軍普天間飛行場は返還されず、継続使用される。

翁長前知事による「埋め立て承認撤回」に道理はある

日米両政府が同飛行場に代わる新基地建設を正式に確認したのは、1999年12月のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)の最終報告である。同報告は「危機の際に必要となる可能性のある代替施設の緊急時における使用について研究を行う」としているが、緊急時の民間施設の使用を返還条件としていない。

さらに現行の新基地建設計画を決めた2006年5月の「再編実施のための日米のロードマップ(行程表)」も「民間施設の緊急時における使用を改善するための所要」を「検討」するとしているだけである。

しかもなぜ「緊急時の民間施設の使用の改善」が返還条件になったのか、政府は沖縄県に一切説明をしていない。

「謝花喜一郎知事公室長は5日の県議会で、13年に当時の小野寺五典防衛相が来県し仲井真弘多知事に統合計画を説明した際『返還条件の説明はなかった』と指摘。これまで政府から詳細な説明はないとし、『大きな衝撃を持って受け止めている』と述べた」(『沖縄タイムス』17年7月6日付)。

「埋め立て承認」時に明らかにされていなかった事実が判明しただけでも、翁長前知事による「埋め立て承認撤回」に道理はある。