セックスレスも「離婚理由」になりえる

当然のことながら浮気や不倫は夫婦関係を破綻させる大きな原因となる行為。ただし、夫婦間のセックスレスも「婚姻を継続しがたい重大な事由」として、離婚理由になりえることをお忘れなく。妻をひとりの女性として扱うことを怠り、セックスレスの状態を続けていれば、妻から離婚を申し立てられて認められる可能性もゼロではない。

このほかにも、多くの熟年夫婦に共通してみられる特徴として「日常的なコミュニケーション不足」が挙げられる。夫の場合なら「妻の話を聞こうとしない」「家事を積極的に手伝おうとしない」「妻にやさしい言葉をかけようとしない」、妻の場合なら「夫とのスキンシップを避けようとする」「夫の自慢話を聞き流す」「夫と二人で出掛けるのを嫌がる」など、それぞれの項目に心当たりがあるなら、熟年離婚にいたらないよう今から意識して夫婦間のコミュニケーションをとるべきだろう。

熟年離婚を切り出される夫が口にする「言葉」

ちなみに、実際に、妻から熟年離婚を切り出された夫たちの多くが口にする言葉として、「自分はこれまで家族を養うため、仕事のことしか考えていなかった。たしかに家庭のことは妻にまかせっきりだったが、妻のほうもそれほど文句を言ってこないので、感謝の言葉や愛情表現がないことも、趣味のことも、てっきり理解してくれているものだとばかり思っていた」というものがある。

だが、妻は理解しているのではなく、「今は言うべきタイミングではない」と不満をためているだけ。たまった不満は定年後や子供が独立したタイミングを待って、噴出する危険性があることを覚えておきたい。

やがて熟年離婚という形で現れる妻の不満を爆発させないためには、今のうちから小まめに「ガス抜き」をする必要がある。それが日常的なコミュニケーションなのだ。それには普段から会話をして不満を種のうちから探って、発芽をしないように取り除いておくのが理想的。

それが難しいなら、せめて妻の誕生日や結婚記念日などに二人で食事をし、夫婦関係の棚卸しをすること。良好なコミュニケーションでパートナーのご機嫌をとっておくことは、相手のためというよりも、自分の将来を守る賢い手段のひとつでもある。

岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。
(写真=iStock.com)
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