日本の「当たり前」は海外では珍しい

イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】外国人の輪のなかに入っていくときに心がけたことは?

【青木】愛嬌って大事だと思うので、あえてバカを演じたりしましたね。たとえばメジャーの選手って、試合後に決まったバーに行くことが多いんです。そういうところに行って普通に飲みながらちょっとバカ騒ぎして「こいつ面白いやつだな」という雰囲気を出す。短期間で心の距離を縮めたいのであれば、そういうのは大事だと思いますね。

あと、僕は2017年にヒューストン・アストロズにいるときに通算2000本安打を打ちました。そのときはメンバー全員に日本の焼酎の「いいちこ」をプレゼントしました。たまたま製造元の三和酒類の方と出会って、アメリカで広めたいとおっしゃっていたので、「じゃあ、ちょっと特別仕様のものを作ってもらっていいですか」とお願いしたんです。

【三宅】日本のお酒というと日本酒である「SAKE」のイメージが強いですからね。

【青木】そうなんです。だから「『SAKE』じゃなくて『SHOCHU』だよ」と言ったら珍しがってもらえました。そういう意味だと日本のものってアメリカ人からすると基本的に珍しいので絶対に喜ばれますよね。

カンザスシティ・ロイヤルズにいたときに妻がワールドシリーズ進出の記念で日本の扇子に「World Series 2014」と書いてチームメイト全員に配ったんですけど、チャーター機のなかで選手もその奥さんもみんなそれを使っていて、ちょっとうれしかったですね。

最大の学びは「俺はできる」と言い聞かせる強い気持ち

【三宅】日本とアメリカで生活されて、アメリカの良さ、日本の良さといったものは何か感じましたか?

【青木】日本の良さとしては、やはり団結力がありますよね。みんなで一丸となって何かを行うといったような団結力は日本人の強みかなと思います。

アメリカの良さでいうと、選手一人ひとりがすごく自信を持っているところが素晴らしいなと一番感じました。どんなことでも「俺はできる。絶対にできるんだ」という気持ちを持っている選手がほとんどで、そういうマインドの持っていき方はメジャーで得た最大の学びだと思います。

【三宅】小さいときからそういう教育を受けたんでしょうね。

【青木】そうだと思います。それは野球の指導の仕方を見ていても感じましたね。メジャーリーグの監督とかコーチって、どんな当たり前のことであっても、本当にいいところを徹底して褒めてくれるんです。

それこそ普通のフライを捕っただけでも褒めてくれるので、はじめのうちは「一応、プロだし。もしかしてちょっとバカにされているのかな?」と思ってしまったくらいで(笑)。

でも、それってそもそもの教育の仕方が違うだけなんですね。例えば日本だとエラーをすると、エラーをしたことを責められることが一般的ですけど、アメリカだと「エラーはしたけど早くボールに行こうとしたからいいじゃないか」みたいなことを言われるんです。

そういう指導をずっと受けていると、人のマインドって変わるんです。初めはおちょくられているのかなと思った僕でも、1年、2年たつにつれてすごく自信を持てるようになって、「日本とは違う環境だけど胸を張ってプレイできるぞ」というマインドになっていきましたね。

【三宅】それは褒めて育てる教育ですね。自信は大きいですよね。

【青木】ええ、本当に。