「コスト負担減」で一気に増える?
RE100%を目指す企業にとって、追い風も吹いている。
「日本にいると実感が少ないかもしれませんが、世界的に見れば再生可能エネルギーの価格が想定より下がってきているのです。たとえば、火力発電が石炭火力で5円/kWh程度なのに対して、風力発電は約4円/kWh、太陽光発電では約3円/kWhといった具合です」
コスト負担が軽くなれば、当然ながら再生可能エネルギーの普及は加速する。
「2016年にはグローバルで発電した全発電量において、再生可能エネルギーの総量がガス発電の総量を抜きました。このままのペースでいけば、20年前半には石炭発電の総量も上回るでしょう。そして25年には、世界で一番発電している電源は再生可能エネルギーになると見込まれています」
では、ここで日本の現状に目を戻そう。再生可能エネルギーによる電力料金はまだまだ高いと言われる。はたして、世界の潮流に追いつくことはできるのだろうか。
「20年代後半になれば、コスト面でもかなり魅力的になってくるはずです。ただし、日本の場合は太陽光発電が中心で、次に風力です。つまり季節や天候、時間帯による出力の変動が大きいだけに、そこをどう調整していくかが課題。全面的に再生可能エネルギーへと移行するには、コスト面以外にも越えなければならないハードルがいくつもあるのです。ちなみに、海洋エネルギーに期待する声もありますが、時間がかかりますので30年時点でもまだまだ広く普及するには至らないでしょう。地熱も、発電に必要な熱源となる地熱貯留層に到達できるかがポイントとなるため、大量導入は望めないのではないでしょうか」
そうした中、RE100%を目指す日本企業は、いつをゴールに設定しているのだろうか。
「現在、日本の将来へ向けたエネルギー計画やCO2の削減目標は2050年をメドに策定されています。これを踏まえる形で50年までに、という日本企業が多いようです。まず20年にスタートラインに立ち、25年にどういう状況になっているかを探りつつ、一つのマイルストーンになっている30年までにどこまで達成しているか、そして50年には100%達成というタイムスケジュールで物事が進むのではないでしょうか。ずいぶん先の話だなと捉える向きもあるかもしれません。しかし先んじて取り組む姿勢を発表することは、投資家、顧客、従業員はじめ各種ステークホルダーに与えるインパクトが大きいといえます」