社内で顔が売れて仕事につながるケースも

社内で自分の顔と名前を売れるのは、タレント側のメリットの一つだ。「このアルバイトがきっかけで、社内で製作するプロモーションビデオへの出演が決まり、仕事につながった例は出てきています」と三宅氏。

何百人というアーティストやタレントが所属し、アイドルだけでも毎年何十人とデビューしているエイベックスでは、「新人がデビューしても社内では伝わりにくい状況になっている」(村山氏)。タレントのバイト雇用には、社内コミュニケーションを活性化する効果もあるわけだ。

関係者以外は入れない社食でバイトするメリット

「社食は来客者との打ち合わせにも使用しているので、業界関係者に顔を覚えてもらうきっかけにもなるでしょう。一方で、一般の方は入れない場所というのもポイントかもしれません。『あのアイドルがバイトしているらしい』といった評判になり、ファンが会いに来るような場所を目指すとファン目線の仕事になり、社内で働く意味とは変わってしまう」(村山氏)

本業以外でお金を稼げ、下積みの苦労を味わえる場所でもある一方で、そこで働く姿は一般に広く見えないようにする――。最近アイドル業界を中心に流行する「苦労の過程は見せてカネにする」という潮流には逆行するが、タレントを守るマネジメント事務所として誠実な試みといえそうだ。

古澤 誠一郎
ライター/編集者
1983年、埼玉県入間市生まれ。東京都新宿区在住。雑誌「週刊SPA!」「サイゾー」、ウェブ「ダ・ヴィンチ・ニュース」等で執筆。ライター古澤誠一郎のホームページ
(撮影=プレジデントオンライン編集部)
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