本業が入ったら即シフト変更できるのが好評

タレントに社内でバイトをしてもらうアイデアは、マネジメント側の社員も持っていたという。エイベックス・AY・ファクトリー合同会社 マネジメントユニット ユニットリーダーの三宅光太郎氏は次のように話す。

店頭には、出勤しているアイドル・タレントの名前が紹介されている(撮影=プレジデントオンライン編集部)

「新社屋ができる以前から、会社が外注している業務の中で、タレントにもできるものはないか探していましたが、経験者以外には難しいものばかりでした。その点、現在の社食のアルバイトは、コーヒー等を提供するブースでの接客が中心。一般のカフェのアルバイトと同じく、未経験でも働けます。また、社内でのアルバイトなので、本業で急な仕事が入った場合は当然そちらを優先できる。その点を喜んでいるタレントは多いですね」(三宅氏)

三宅氏は、松浦勝人会長と秋元康氏がプロデュースする「劇団4ドル50セント」のマネジメントを担当。安倍乙、福島雪菜など、グラビア等で活躍する劇団員も増えているが、彼女たちが社員食堂で働いていることは社内ですぐに評判になったという。

「『社食で働いてるのって、劇団のコだよね?』と、よく話しかけられるようになりました。登録するとアルバイトに入れる仕組みがあると伝えると、『自分が担当するタレントにも教えたい』という人は多かったです。最近は登録者数が増え、希望してもバイトに入りづらい状況になっています」(三宅氏)

社会性が身につき、多くの人の仕事を感じる場

社食のアルバイトはシフト制で、一度に入れる人数は2~3人。登録者は10~20代のアイドル、アーティスト等で、男女比率は3:7程度だそうだ。時給は「日中のアルバイトとしては高めの金額」で、その点もタレントたちには好評だという。

なお直接の雇用主はエイベックスではなく、エイベックスが食堂運営を委託する企業。仕事の指導・監督なども、食堂のチーフが行っている。所属事務所の社内でのアルバイトではあるが、タレントたちには従業員として責任をもって働くことが求められるわけだ。

「私個人としては、タレントたちには社食でのアルバイトを勧めています。アルバイトでは社会性も身につけられますし、本業では会わない社員たちと接することで、自分の活動が多くの人に支えられていることも実感できる。最近は本業が忙しくなり、アルバイトに出られなくなっている子もいます。ここが登竜門のような場所になっていってほしいですね」(三宅氏)