「胃がんの検査方法には主に胃X線検査(バリウム検査)と胃内視鏡検査(胃カメラ検査)の2つがあります。ガイドラインの見直しで、自治体のがん検診でも徐々に胃カメラ検査が受けられるようになりました。胃カメラ検査は、食道がんのチェックも一緒にできるため、バリウム検査よりもおすすめです」(近藤氏)

日本のがん死亡数トップの肺がんの検査は、どのように受診したらよいのだろうか。

「肺がんは、肺の入り口で中心部の肺門にできやすい。しかし、その背後には心臓や大小さまざまな血管が走っていて、レントゲン検査の画像では白く描出されます。そのため、レントゲン検査だけでは、同じように白く写るがんは見つけにくいのです」と近藤氏は説明する。

「しかし、肺門にできるがんは、痰にがん細胞が混じりやすいので、痰の検査の併用が有効です。また、喫煙者や過去の検査で何か指摘をされたことがある人は、定期的にCT検査を受けたほうがよいでしょう」(近藤氏)

日本人がかかるがんで最も多い大腸がんは、便潜血検査が簡便だ。ただ、便は右側の大腸(上行結腸)にあるときは水分を多く含んでいるので軟らかく、肛門に近づくにしたがって水分が吸収されて固くなっていく。そのため、上行結腸にポリープやがんがあっても便の抵抗が弱いため出血しにくく、発見も遅れやすい。「便潜血検査が陰性で安心していると足をすくわれることがあります。大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は、受診しておく価値が十分にあります」と近藤氏は説く。

女性罹患数トップの乳がんは、マンモグラフィ検査が広く普及している。乳房をプレートで挟まれて圧迫されるときに痛みがあるが、視診・触診では発見しにくい小さな病変を見つけられる。

「マンモグラフィでは、乳腺の濃度が高いほど白く写るため、乳腺が発達している人の場合は、がんを見つけにくい弱点があります。検査を受けたときには、自分の乳腺の濃度を尋ねてみて、乳腺濃度が高いと言われたら、超音波(エコー)検査を追加するとよいでしょう」(近藤氏)

万能ではないPET検査

がん検診で最近人気が高まっているというのがPET検査だ。痛みなどの苦痛がなく、複数のがんを網羅的に見つけられる特徴がある。

しかし、「万能の検査法といわれるPET検査だが、がんの半数が見逃されています」と前出の岡本氏。PET検査の有用性について、近藤氏も同様に現在のPET検査の限界を語る。