「オッケーグーグル、○○にごめんねって伝えて」

ここまでうまくいったのはグーグルホームを使用するタイミングもよかったのだろう。だが二人の間だけでは解決できない第三者的な役割をグーグルホームに担ってもらうことで、少なからず空気を動かすことはできるだろう。

このようにグーグルホームを使いこなすには、あらかじめ設定が必要になる。

具体的には、グーグル拡張機能の「アクションズ・オン・グーグル(Actions on Google)」の「ダイアログフロー(Dialogflow)」という開発ツールを用いる。そこに「オッケーグーグル、○○にごめんねって伝えて」と言うと「○○さんごめんね。でもこの前土屋くんは○○さんのこと本当に大好きって言ってたよ」と反応するように入れておけばいい。

さまざまな横文字のツール名が出てきて専門知識が必要に感じるかもしれないが、ダイアログフローはプログラミングや専門知識も必要なく、かんたんに会話パターンを作成できる。なお、実際はテスト用アプリの場合、はじめに「オッケーグーグル、テスト用アプリにつないで」と話しかける必要があるので覚えておきたい。

なお、筆者はこのパートナーとはすでに別れているので、AIスピーカーに頼ったとしても、何事も解決できるわけではないことは付けくわえておく。

▼使用法(2):職場の上下関係がフラットになる

スマートスピーカーで人間関係が滑らかになるのはプライベートだけではない。

むしろ第三者的な役割になる特性は、仕事でこそ効果を発揮する。

筆者が社内の仕事で取り入れている「デザイン思考」では、そのプロセスにおいて上下関係の枠を取りはらい対等に会話できる環境づくりが大前提である。しかし大企業のように部門ごとの役割が明確な「機能別組織」では、特に上下関係が発生しやすく、闊達(かったつ)な議論になりにくい。

筆者もアイデアを生み出すために週一回チーム内で行っていたワークショップでは、タイムキーパーの役目を誰が担うかという課題があった。タイムキーパーが「10分測ります」と口にした時点で、ほかのチームメンバーにとって下っ端の役割を担うことになり、参加者間で上下関係ができてしまう。それで終盤「あと1分です」とでも言うものなら、タイムキーパー自身がその限られた1分で発言する空気にはなりづらく、調整役にまわることになる。

そこで筆者のチームでは、アマゾンエコーをプロジェクトルームのテーブルに置き、活用することにした。「アレクサ、10分測って」と言えば、音声アシスタント「アレクサ(Alexa)」が測ってくれる。今ではタイムキーパーがいないことがあたりまえの感覚になり、それにともない職場の人間関係もフラット化し、闊達な議論ができるようになった。

土屋氏の職場のワークショップで「タイムキーパー」として活躍するアマゾンエコー