デジタル変革には拠って立つ経営理念・哲学が不可欠

つまり、企業のデジタル変革とは、デジタル技術を駆使して、「何度でも自己変革可能」な企業に生まれ変わることである。肉体は変われど、魂は永遠であることとほぼ同義だ。

変革には当然、痛みを伴うことになる。痛みを乗り越えるためには、拠って立つ経営理念・経営哲学が欠かせない。自分たちは誰に対してどのような価値を提供するために存在するのか。我々は何をいちばん大切にする会社なのか。そのミッションを実現するため、経営理念や哲学に則り、何を守り、何をすてるのかを判断する。磨くべき事業に経営資源を集中させ、それ以外の事業は縮減させる。社員を再教育し、企業内で再配置する。(図表2)

そこで求められる人材は、企業理念・哲学に深く共感するとともに、デジタル技術を正しく理解し、正しく駆使できるデジタル人材である。物心ついたときから身の回りにデジタル機器が存在していた、いわゆる「デジタルネイティブ」たちが、すでに企業の中核を担い始めている。企業のDXの鍵を握るのは、このデジタルネイティブたちである。