ただし、購入を考えるなら、将来の資産価値については考えておく必要があります。将来の価値を左右するのは立地と住宅の性能です。マンションであれば最寄り駅から徒歩7分以内、一戸建てなら同15分以内が基本。また、郊外で購入する場合には、「立地適正化計画(※)」に注意が必要です。

※持続可能な都市構造への再構築を目指し、土地を住みやすい区域とそうでない区域に分けること。

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これは、一定のエリアに人口を集めて、人口減の中でも生活サービスやコミュニティを維持しようというもので、全国約400の自治体が取り組んでいます。道路を一本隔てただけでもエリア外に区分されると、インフラの修繕が後回しにされたり、ゴミの収集が行われなくなったりするかもしれません。首都圏ならば神奈川県藤沢市、千葉県松戸市、埼玉県川越市などがすでに計画を進めています。

さらに、築年数よりも実質的な価値で建物を評価する取り組みを、政府は行っています。仮に築30年でも、コンディションが良ければ築15年と判断され、経済的な耐用年数が長くなることがあるのです。その判断基準はまだ非公表ですが、おそらく耐震性や省エネ性能がポイントになるので、定期的なメンテナンスも重要になります。マイホームの価値が維持できれば、将来、一戸建ての場合はリバースモーゲージを利用し老後資金も借りやすくなるでしょう。

長嶋 修(ながしま・おさむ)
1967年、東京生まれ。99年業界初の個人向けコンサルティング会社「さくら事務所」設立。現会長。『100年マンション 資産になる住まいの育てかた』など著書多数。
 
(構成=向山 勇 写真=iStock.com)
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