養育費に婚姻費用……離婚は金銭的に大きなロス
豪快な浪費癖に加え、中山さんには毎月、離婚した妻子の養育費50万円の支払いも重くのしかかっていました。といっても彼自身はお金に無頓着なので、「払えてるんだから別によくね?」といった感じ。貯金もなく、ちまちました資産形成にも興味がなかった中山さんですが、そんな彼が私のもとに訪れた理由……それは、3番目の奥さんでした。
これまで「買って買って」と彼におねだりばかりしていた専業主婦の前妻2人とは異なり、現夫人は小学校の先生として働く倹約家。「家計……なにそれ?」状態だった今までとは打って変わって、「一緒に子供のために頑張ろう」と励まされたことから一念発起。生まれてはじめてお金のことに向き合う覚悟を決めたということでした。人生パートナー次第といいますか、賢妻の力によって彼が変わった瞬間でした。
ちなみに中山さんほど稼ぎのある男性の場合、離婚は金銭的な痛手になることが多いです。子供がいれば離婚後は養育費の支払いが発生しますし、相手が専業主婦だと年収差が大きくなるため、養育費もそれなりの査定が出てしまいます。
また、離婚が成立する前には「婚姻費用」を支払わなければいけないケースもあり、高所得者が何度も結婚・離婚を繰り返すことは、金銭的には大きなロスと言えるのです(でもやっぱり中山さんは気にしていなかったですが)。
お金の管理を共有している夫婦は仲がいい
新たな伴侶のおかげでお金への意識改革が起こりつつあった中山さん。こういった方に私がまずアドバイスするのは、先取り貯金をすることです。いくら堅実な奥さんがそばにいるからといって、もともとの派手好きな性格はすぐには変えられません。だったら会社の財形や社内預金といった制度をフル活用し、給与から天引きしてできる貯金をまずは実行してもらいます。毎月どれくらいのお金を使っているのか認識がない、とにかくあるだけ使ってしまうという方は手元のお金を最小限にし、残りは貯金に回してもらうようにします。
これによって毎月20万円ずつ貯金できている中山さんは、最近「つみたてNISA」もはじめたそうです。コツコツ貯金をするのが大嫌いと言っていた人とは思えないほどの変化ですよね。これまでのように散財できないストレスもこぼしていましたが、それよりもやはり、いいパートナーと出会えたことの方が大きかったようです。
お客様の中でも夫婦仲の良いカップルは、お金の管理がきちんとできていることが多い気がします。夫と妻が別々にお金を管理してしまうと、「あなたが貯めていると思った」と、互いをアテにしていた結果まったく貯金が進まなかったり、お財布状況がわからないがゆえにちょっとしたことで不信感を持ってしまいがち。だからパートナーとはお金の情報を互いに共有し、管理していく「貯蓄の見える化」をおすすめしています。