「同日選決断」なら安倍氏の政治生命は激変する
安倍氏が同日選を目指すメリットは何なのか。
衆参同日選は1980年、86年と2回行われている。総じていえば、衆参同時に選挙を行えば、野党が選挙協力しにくくなり、自民党が有利になるというのが定説だ。実際、2回の同日選は、どちらも自民党が勝っている。
その「効力」を利用して自民、公明の与党で過半数を維持するのはもちろんのこと、自民、公明、維新などの改憲勢力で3分の2を維持し、選挙の後は悲願である憲法改正に向けてアクセルを踏む。これが安倍氏の基本戦略である。
そして、もし同日選で大勝利となった場合、自民党総裁4選の目が出てくる。1986年、同日選を仕掛けて勝利に導いた中曽根康弘氏はその論功として総裁任期の1年延長を勝ち取った。その「前例」にならい、2021年までとなっている安倍氏の総裁任期を、さらに延ばすことも視野に入れる。
4選のためには自民党則を変えなければいけないが、自民党の党則は、融通無碍。安倍氏の3選が可能になった時も党則を変えている。このあたりのことは「"安倍総裁4選"があり得るこれだけの理由」で詳しく報じているのでご参照いただきたい。
同日選の決断は、安倍氏の残りの政治生命を劇的に変える可能性が高い。そう考えれば、今の安倍氏が衆院解散のことは「頭の片隅にもない」というようなことは、あり得ないのである。
(写真=時事通信フォト)