「60歳まで」と「60歳から」人生のありようは変わる
長寿社会で定年を迎えると、長い間縛られてきた多くの制約から解き放たれ、我々は新たな道を選べる恩恵を手に入れる。
結婚し、子供が生まれ、住宅を購入すれば、その代償として経済的な余裕と裁量の自由度をなくす。
だが、子供が独立すれば(子供を持たず、自由裁量度を優先した人もいるだろうが……)、教育費という縛りからも解放される。また住宅を購入して住宅ローンを組んだ人たちも、定年前後にローンを完済し、もうひとつの縛りから解き放たれる。
子育てと教育費、そして住宅ローンから解放されると、夫婦二人のためにふたたび時間とお金を使えるようになる。
人生はダブルヘッダーだ
長寿社会となったこの国で、我々の人生には前半戦と後半戦が生まれた。スポーツの試合に例えれば、前半戦と後半戦の合計得点で勝敗が決まるようになったわけだ。
試合の前半戦に得点を重ね、勝敗がついたように見えた試合で、後半戦で形勢が逆転して勝利する選手がいると、誰もが熱狂し興奮する。人生もこれとまた同じだ。
定年までいた会社で燃え尽きてしまい、定年後にはなにもせずに暮らす人がいる。一方で、前半戦から周到に準備して、後半戦に力を発揮して現在も愉しく暮らす人もいる。
制約が多い前半戦でなく、制約から解放される後半戦にどう挑むかで自分の人生が決まるなら、誰でも面白く生きたいと願うはずだ。