日本のお金で漢江の奇跡
私が今、非常に心配しているのは、一向に世情が安定しない韓国という国の存在だ。政権が変わるたびに政治姿勢がころころ変わり、その時々で、反米と親米がすぐに入れ替わる。反日ということだけはブレないが、支持率が落ちるたびに、激しさは増す。
政権が変わらなくても、国内で政権に不利な状況が起きるたびに、外交上の約束を平気で反故にする。安全保障上の信用がまったく持てない。
10月末、韓国の最高裁にあたる大法院は、第2次世界大戦中の強制労働を理由に新日本製鉄(新日鉄住金)に対して、韓国人の原告4人に、計4億ウォン(約4000万円)の支払いを命じる判決を下した。いわゆる徴用工裁判と報じられているものだが、今回の原告4人は徴用されたことはなく、企業側の募集に応じて日本に働きに来ただけで、そもそも徴用工ではない。日本政府も「旧朝鮮半島出身労働者」で呼称を統一している。
もしも、原告たちが本当に徴用されたのであったとしても、日本企業には支払う義務はない。1965年の日韓国交正常化の際に締結された日韓基本条約および日韓請求権協定で解決済みだからだ。請求権協定には、日本が韓国に対して計5億ドルの資金協力をする代わりに「両国及びその法人を含む国民の財産、権利及び利益、並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決する」(要約)と明記されている。
個人への補償については、韓国政府が行うことになっていたのだが、当時財政難に陥っていた韓国政府は、日本からの資金を開発資金として流用してしまった。それが「漢江の奇跡」と呼ばれる復興につながったのだが、韓国政府はその事実を国民に伝えなかった。だから保障を受けるべき個人への支払いを滞らせたのは韓国政府であって、日本政府ではないのである。これは慰安婦問題も同じ図式だ。国民に真実を伝えないばかりか、内政に行き詰まるたびに反日をあおって国民の目をそらそうとするやっかいな隣人である。