コストがかかる長男の車を親が取り上げない理由

かつて祖父母が住んでいた家から実家までは数キロで、自転車やバイクで通えない距離ではありません。でも、長男は自動車に乗って実家へやってきます。自動車は長男しか乗りません。あと2~3年もすれば車の買い替える時期もやってきます。このまま自動車を保有し、コストをかける必然性はないのではないかと感じられました。

そもそも、実家には長男の部屋があるのに、祖父母の家を自室代わりに使うことで支出増になります。1人暮らし経験者で自炊ができる長男と、障害年金を受給している長女が一緒に生活することで支出も抑えられます。ライフプランを立てるために重要なポイントとなるため、両親に確認すると、母親はこう答えました。

「車内は、長男が唯一リラックスできる空間らしく、たまに気分の良い時はドライブに出て外に出かけるきっかけになっているようです。現状、車を取り上げるのは得策とは思えません。祖父母の家から通ってくるのは、近所の人にひきこもっていると思われたくないからなんです。本人の自由にさせておくことで心を癒し、立ち直ってくれればと静観している状況です。また、姉弟が、同じ屋根の下で暮らすのはお互いのストレスになるため、不可能と思っています」

ライフプランは現実的な提案でないと意味がありません。家族の希望に沿った形で、両親が48歳、45歳の子供2人に生活資金が残せるのかを試算してみました。

父が他界し、母が高齢者施設に入った前提で「試算」

まずは両親が健在な間の「必要資金」からです。

現状、両親合わせて年金収入が月28.5万円ありますが、月平均で4万円強の赤字になっており、年間50万円ほど貯蓄を取り崩しています。

また、今後、車の買い替えや保有不動産の修繕費といった支出が必要になります。その他、父親が亡くなった後、母親が介護状態になった場合、長女にケアを期待することは難しいため、高齢者施設への住み替えを想定しておく必要があります。仮に母親が85歳~90歳まで高齢者施設に入ると仮定した場合、総額1700万円ほど必要となります。両親の資産は計2500万円と終身保険の500万円です。現金として子供たちに残せるのは1300万円ということになります。

1300万円だけでは、無職である姉弟2人分の今後の生活費をカバーしきれないのは一目瞭然。不動産の売却を検討する必要がありそうです。

次に、父親が他界し、母親が高齢者施設に入った後の姉弟に必要なお金の計算してみます。