また、本棚に入りきらない本が天井近くまで積み上げられ、親がそのそばで寝ている、なんていう話もよく聞く。そんなときは「貢献」をキーワードにするといいそうだ。誰かが使ってくれるなら、と考えると手放しやすくなる。それでも親が躊躇する場合は、理由だけでも聞いておこう。その理由の中には、きっと「大事な思い出」があるはず。実は、親にとって大事な物を確認しておくことは、後々のことを考えると非常に大事なことだと内藤氏は言う。

「アルバムが100冊あったとします。遺品整理の際、それを全部取っておくわけにはいきません。特に大事な写真をあらかじめ聞いておき、それだけを残せば、ほかは割り切って捨てられます。親が大事にしていた物を聞いておけば、それ以外は躊躇なく処分できるのです」

この「事前に聞いておく」という手法は、もう1つ大きなメリットがある。「見落とされがちな財産」を発見する際に大きな手がかりになるからだ。

「親がわが子のために定期預金をしていても、その存在を知らなければ受け取れません。例えば『子供のための定期預金の管理は夫婦でしようと思っているんだけど、お母さんはどうしてる?』などと、相談する感じで聞いてみましょう。これはネット銀行の預金のパスワードを知るうえでも有効です。『スマホのパスワードは夫婦で共有しているけど、お父さんとお母さんはどうしているの?』などと相談しながら聞いておけば、デジタル遺品を調べるために携帯のロックを解除するときに役立ちます」(同)

親世代では国債などを持っていたりするケースもよくある。生命保険以外にどういったものが受け取れるのかも、「相談」しながら聞いておこう。

「片付けをしていて、金杯が出てきたら要注意です。以前は銀行がお得意様に記念品として配ることが多かったので、もしかしたら親が貸金庫を契約している可能性があります」(同)

見慣れない銀行のカレンダー、生命保険や証券会社のティッシュボックスなどがあったらチェックしておこう。事前に金融関係の情報をうまく聞き出すことで、「見落とされがちな財産」を少しでも減らすことができる。