働き盛りの世代が逃げられないのが「実家をどうするか」という問題。面倒だと放置してしまうのは危険だ。早めに手を打つにはどうすればいいか。今回、5つのテーマに応じて、各界のプロにアドバイスをもとめた。第3回は「恋愛や再婚で相続バトル」について――。(第3回、全5回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年9月3日号)の掲載記事を再編集したものです。

相続税0円で、後妻が遺産を手に入れる条件

高齢の資産家男性に近づく「後妻業」女性や、「紀州のドン・ファン」不審死事件が世間を賑わせている。人の死によって動く金額の大きさゆえに注目を集めたが、これらの事例は極端な他人ごととは言い切れないようだ。

▼「後妻」が注目された近年の事件
(左上から時計回りに)AFLO、時事通信フォト、The Asahi Shimbun/Getty Images、共同通信イメージズ=写真
(1)“紀州のドン・ファン”が変死
女性4000人に30億円貢いだと豪語した資産家・野崎幸助氏(写真左上)が、20代女性と3度目の結婚。その3カ月後の2018年5月に不審死(享年77)を逐げた。現在も捜査は継続中(同右上)。
(2)結婚・交際した男性が7人死亡
周辺の男性が次々と不審死、4人目の夫を青酸化合物で殺害した容疑で逮捕された筧千佐子容疑者(写真右下)。10年間に10億円の遺産を得ていた。同左下は3人目の夫の墓。

連れ合いに先立たれた老親の恋愛など、子の世代の大多数にとって想像もしたくないだろうが、実際にそういう事態になって、さらに入籍という流れになれば気が気ではない。見ず知らずの人間を家族になどしたくない気持ちもさることながら、遺産相続の“分け前”が減る。今のご時勢、わが子の養育費や家のローンに老親の遺産を当てにする人は少なくあるまい。