「研修で言われたから」で始めればOK

私の答えは、「正直に、『みんなとの関係を良くしたい』と言ってしまいましょう」です。今、あまり関係が良くないと感じているから良くしたいと思っているわけなので、それを改善したいと素直に伝えるほうがいいです。これからできるだけ話しかけたり、コミュニケーションを取りたいと思っていることを先に宣言するのです。

そのときに、「今日の研修で、講師にそう言われたから」「セミナーでそういう助言を受けたから」という理由を伝えてもかまいません。そういう理由なら店長の行動も自然ですし、スタッフも変に警戒したり、怪訝に思ったりしないでしょう。

実際にそういうセミナーがなかったとしてもOKです。店長やリーダー、トップであるあなたが、職場のネガティブな状態を解決したいと思ったら、そのタイミングで行動に移しましょう。そのためには、現状がネガティブだと認めてしまったほうがいいです。職場の雰囲気が悪いのは良くないと、トップとして話を切り出し、そのうえで良くしていきましょう。

正直に伝えれば一緒に働く人は応援団になってくれる

正直に理由を伝えれば、「雰囲気を良くするためにいろいろ考えているんだな」と思ってくれた人たちが、トップを支える応援団になってくれます。コミュニケーションを良くしようと思っている味方が増えるわけです。

「もっと他の人と話したいな」「もっと楽しく働けたらいいな」と思っている人がいたとしても、それを言い出しづらいところがあります。やはり、職場の空気を変える先導役はトップがしないと始まりません。トップが率先して動き、一緒に働く人たちにどんどん声をかけていきましょう。

鳥越恒一(とりごえ・こういち)
DIC幹部育成コンサルティング 社長
1973年生まれ。金融業、飲食業を経て2003年、株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ入社後、人財開発研究部の担当役員として部門を統括。2012年にDIC幹部育成コンサルティング株式会社を設立し、社長に就任。飲食・小売・サービス業のコンサルティングに従事し、これまでに延べ5万人以上の店長の悩みを聞いてきた。著書に『プロ店長 最強の仕事術』(日本経済新聞出版社)などがある。
(写真=iStock.com)
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