しかし、この企業はグータッチルールが文化になっています。私が研修のために本社に行けば、受講生たちが必ず「おはようございます」「今日はありがとうございます」とグータッチしてくれます。店舗でも、店長とスタッフは必ず「おはようございます」とグータッチの挨拶から始まります。

さらに、グータッチのときに笑顔がある、その笑顔が素晴らしいとなると、スマイルバッチを付けられるようになります。そういう取り組みもあるので、誰もがいい笑顔で挨拶してくれます。「とにかくグータッチしなければいけないルールだ」と決めて、継続していくことで文化になるのです。

どうしても暗い雰囲気になってしまっている、笑顔で挨拶をする空気が職場にないというのであれば、「ハイタッチしましょう」とルールをつくって、明るい挨拶を実践していったほうがいいですね。最初はぎこちないかもしれませんが、そのやり取りから活発なコミュニケーションも生まれます。

空気を変えるきっかけがつかめない

コミュニケーションに関する研修の後に、若い店長からこんな相談をされたことがあります。

「それまでそんなに話していなかったスタッフに、急に近づいて話しかけたり、コミュニケーションを取ろうとすると、違和感がないですか? 『ハイタッチで挨拶しましょう』なんて提案しづらいのですが……」

その店長の話では、お店の雰囲気全体が少し暗い感じで、働いている人同士であまり会話もなく、不穏な空気が漂っていたそうです。そんな中で、急にコミュニケーションを積極的に取り出したり、ハイタッチで挨拶を始めたりしたら、「えっ!?」とスタッフたちに驚かれそうで、お店の空気を変えるきっかけがうまくつかめないということでした。

店長自身が、「お店を明るくして、コミュニケーションは絶対に良くしていったほうがいいし、店長の自分からやっていかないといけないこともわかっていますが、どういうきっかけや理由があれば自然にできるでしょうか?」と悩んでいたのです。