※本稿は、鳥越恒一『ほめられたいときほど、誰かをほめよう 店長の心を励ます50の言葉』(プレジデント社)の一部を加筆・再編集したものです。
叱っても褒めても無反応な若者たち
最近多くなってきた店長からの相談に、「若いスタッフが無反応で困っています」というものがあります。これは特にここ1~2年で増えてきた相談です。
これは店舗に限らず、若手社員や学生アルバイトがいる職場なら、どこでもあり得る問題ではないかと思います。顕著なのは今の大学生ぐらいから下の年齢でしょうか、基本的なコミュニケーションさえ取れないことがネックになっています。
無反応な若者と、どうやって関わっていけばいいのか?
まず言えることは、まだ相手が仕事に関心を持つステージになっていない、ということです。特に新人スタッフや新入社員であればなおさらです。そのステージになっていない段階で、仕事のやりがいや目標について尋ねても、「そんなのないよ」と思われてしまいますし、その重要性などを懇々と説かれても、「めんどくさいな」と思われるだけです。
ですが実際、無反応な若手スタッフたちは、仕事は粛々とやってくれます。すごく良い笑顔で接客しているわけではないですが、クレームも出ない。生産性が悪いというほどでもないですが、決して高いわけでもない。ですから、叱るポイントも少ないのです。ちょっとしたことでも、良いと思ったことは褒めてみても、それに対して反応がありません。
以前は、そういう無反応なスタッフの意識を変えるために、表彰したり、賞与を増やしたり、承認欲求を満たすような工夫をすることがよくありました。しかし、今はそんなお金や名誉はいらないという若者が増えてきています。
賞罰や評価制度ではモチベーションは上がらない
これはつまり、賞罰や評価制度の効果が薄まっているということです。もちろん現場にもよりますが、「別に評価されても給料がすごく増えるわけでもないので、普通でいいです」という感覚の若者が増えているのです。責任が重くなるくらいなら今のままでいい、社員にならず自由に休めて面倒なことを言われないアルバイトのままでいい、そんな感覚です。