こうした感覚ですから、仕事に関心を向かせるというのは、とてもハードルが高いです。言ってしまえば、こうした感覚の若者は、どこで働いてもいいと思っています。特に、できるだけストレスがない職場であることが重要です。それでも、アルバイトよりはポテンシャルが高い、仕事ができるから問題がないと本人は思っています。

実際、こうした若者は無能ではありません。あくまで普通です。当たり障りのないギリギリの及第点を取るような仕事ぶりなので、叱るような点もありません。かと言って、大きく成長してほしいと期待をかけられるのも嫌がります。マネジメントの進め方が大きな変わり目を迎えていると言っていいでしょう。

興味のないスマホゲームにも関心を寄せるべき

鳥越恒一『ほめられたいときほど、誰かをほめよう 店長の心を励ます50の言葉』(プレジデント社)

仕事に関心がない無反応のスタッフには、まず上司である自分に関心を持ってもらうことが必要です。若手スタッフと上司、その関係が良くなっていくことが大切なのですが、そのためのフックが“仕事”ではうまくいきません。

そこで上司は、その若手スタッフが好きなことに関心を持ちましょう。ゲームだったらゲーム、サッカーだったらサッカーなど、その人ごとに興味関心があるものが何かを知り、相手の好きなことに自分の関心を寄せていきます。そうすることで、「この人は自分のことをわかってくれている」と思ってもらえるようになるからです。

若者の間ではスマホゲームが流行っています。私のような上の年代の価値観からすると、「1日中スマホでゲームしているなんて意味がわからない」と思ってしまいますが、そこで相手の価値観を否定していては、若者は上司の話に聞く耳を持とうと思わないですよね。

「そんなにスマホゲームばかりしていて、つまらなくないの?」などと言ってくるような自分の価値観を否定する人とは、関わりたくないですし、近づきたくないと思うでしょう。そんな人から仕事であれこれ指示されても、最低限をこなすだけになるのは不思議ではありません。