※本稿は、鳥越恒一『ほめられたいときほど、誰かをほめよう 店長の心を励ます50の言葉』(プレジデント社)の一部を加筆・再編集したものです。
いくら腕がよくても、怒る歯科医には行きたくない
私が通っている歯医者さんの話です。その先生は、いつも助手の歯科衛生士さんたちに対して怒っています。その怒っている様子が、私をはじめ同時に6台の診察台に横になっている患者全員に丸聞こえなのです。
先生がひとりで一度に6人も診なければいけないので、大変なのだとは思いますが、いつ行ってもイライラしていて、働いている他のスタッフを怒っている。患者はお客様なので、私たちにはとても丁寧ですが、聞いていて「ひどいな」「この職場、楽しくないだろうな」と思ってしまうほど、スタッフのみなさんには怒っているのです。
その歯科はいつも混んでいますし、治療の手際もいいので腕のいい先生だと思いますが、いつ行っても雰囲気が良くありません。先生に怒られないようにと、スタッフの表情は暗く、張り詰めた緊張感が漂っていて、何だかかわいそうになってくるほどです。
お店や職場の雰囲気は、トップで決まります。お店であれば、店長の機嫌が良ければ店舗内も明るく、スタッフにも笑顔があふれます。しかし、この歯科のように、トップの人の機嫌が悪く、いつもイライラして怒っていたら、スタッフも暗くなり、職場の空気も悪くなります。トップには、いつも機嫌を良くする、嫌なことがあってもそれを出さないことが求められるのです。
最初と最後の「気持ち良い挨拶」だけでリセットできる
たとえば、朝お店に出勤したスタッフが、「おはようございます!」と元気に挨拶しても、それに対する店長の挨拶が「……おはよう」と相手の顔も見ずに、小さな声でぼそっとしたものだったら、言われたスタッフはどう思うでしょうか?
店長の挨拶が、元気がなかったり、不機嫌そうだったりしたら、一緒に働く人たちの気持ちも沈んでしまいます。当然、店長にも疲れている日や、気分が晴れない日があると思います。そんな日は、挨拶だけでも笑顔で元気にやってみませんか? 朝一番の店長の挨拶が暗かったら、スタッフも暗くなり、お店全体も暗くなってしまいます。