安倍政権内で、スキャンダルが次々に明るみに出ている。だが安倍晋三首相は、意外にも落ち着いている。それもそのはず。初入閣の12人は「入閣適齢期」になってもなかなかなれなかった、いわく付きの政治家たち。これぐらいは想定の範囲内なのだ。安倍首相は来年の参院選前には早々と内閣改造を行い、彼らを切るつもりだという――。
2018年10月16日、閣議に臨む(左から)石井啓一国土交通相、茂木敏充経済再生担当相、安倍晋三首相、麻生太郎財務相、根本匠厚生労働相(写真=時事通信フォト)

すでに「学級崩壊状態」にある安倍内閣

早々に「文春砲」が火を吹いた。18日発売の週刊文春が10月25日号で「片山さつき大臣 国税口利きで100万円」と報じた。片山氏が10月2日の改造で入閣するのを見届けて、満を持して持ちネタをさく裂した印象だ。片山氏は疑惑を否定。文芸春秋を相手取り損害賠償を求めて提訴した。しかし報道が事実でないことを具体的に証明できておらず「法的措置に入っているので、詳細は差し控える」と繰り返している。

片山氏については今後も、メディアから第2、第3の追及弾があるとの見方もあり、臨時国会では追及の矢面に立つ。

「政治とカネ」で問題を指摘される議員は他にもゴロゴロいる。宮腰光寛沖縄北方担当相、平井卓也科学技術担当相は談合が指摘された企業からの献金問題、渡辺博道復興相は、国から間接的に補助金を受けた企業からの献金問題を抱える。柴山昌彦文部科学相は、公選法違反を指摘する報道があった。

この他、過去に歴史認識などについて問題発言をして批判された閣僚も多数いる。当然、彼らも国会で厳しく追及を受ける。まさに安倍内閣は学級崩壊に近い状況だ。

批判を受けているのは「こだわりのないポスト」の12人

注目すべきは、これらの「疑惑閣僚」はいずれも初入閣組であることだ。内閣改造直後の10月4日にアップした「 "右寄りのお友達"で固めた安倍内閣の真意」で紹介したように今回の内閣改造で安倍氏は、重要ポストはお友達の現職を配し、こだわりのないポストは、総裁選で自分を支援してくれた議員の中から派閥の推薦・要望に基づいて適当に配置した。その「こだわりのないポスト」が12あり、そこに起用された閣僚が、批判にさらされているという構図だ。

12人の多くは、ここ数年の間、毎回入閣候補にあげられながら、見送られてきた。つまり、かねてスキャンダルのうわさがあったり、軽率な言動が指摘されたりする議員だった。今、問題が噴出するのも当然といえば当然だ。

人事権者の安倍氏はどういう心境だろうか。もちろん好ましい展開とは思っていないが、かといって、危機感を募らせているようでもない。