今のような事態が起きるのは織り込み済み
安倍氏は今回、徹底した内向きの発想で人事を行った。国民受けする人選をするのではなく、党内治安の維持を優先した。総裁選で支援をしたのに冷遇されれば、安倍氏への忠誠度が急速に下がる。そうならないように配慮したのだ。
安倍氏は今回の総裁選で、自分を支援してくれた麻生派、二階派などの希望を受け入れて人選した。派閥の領袖は、派内バランスを最も重視する。だから当選回数の少ない若手を抜てきされるより、回数が多い議員から順番に起用されるのを希望する。その希望を安倍氏はかなえた。言い換えれば、論功行賞と分かるような人事をした。
さほど能力はなく、「すねに傷もつ」大臣たちだから、今のような事態が起きるのは織り込み済みというわけだ。
安倍氏は今の内閣を長く継続する気はない
安倍氏は、盟友がスキャンダルに巻き込まれた時、守り切ろうとすることが多い。2016年、経済財政担当相だった甘利明氏に「政治とカネ」のスキャンダルが浮上した。結局、甘利氏は自ら辞任するのだが、安倍氏は、辞意を漏らす甘利氏に「内閣支持率が下がってもいいから続投してくれ」と何度も説得した。今回の人事でも、批判されるのを覚悟の上で、森友問題や次官のセクハラ問題の責任が問われる麻生太郎財務相を続投させている。
だが、これは自分がこだわりをもって起用した盟友たちの話。「こだわりのない」12人については「説明責任が果たせなければあっさり更迭するだろう」というのが大方の見方だ。
現在の状況を考えると、今年の臨時国会から来年の通常国会にかけて「何人が辞任するか」が焦点となるかもしれない。
そもそも、安倍氏は今の内閣を長く継続する気はないようだ。自民党内では、そんなささやきが漏れている。もともと「滞貨一掃」内閣と言われる顔触れ。「一掃」することに抵抗感はない。