「就活ルール廃止」をきっかけに考えるべきこと

私は「就活ルール廃止」に賛同します。「就活ルール廃止」を契機に、もっと大切なことを考え抜かなければなりません。

(1)大学での学業は、激しい変化をともなう人生100年時代を生き抜くための「アップデート脳」の土台作りとして不可欠である。
(2)「就活ルール」廃止による「新卒一括採用」から「通年採用」or「(他の形での新たな)新卒採用」への移行は、「就活と学業」との相互補完的な<健全>な関係性構築の契機となる。

大学生が今一度、意識するべきなのは、「焦らない」「安売りしない」ということです。人生100年時代を迎えました。22歳での「内定」は、大した意味を持ちません。それよりも、「どんな風に働いていきたいのか」「働くことで何を実現したいのか」「働くことで社会にどんな貢献をもたらしたいのか」を考えることが大切なポイントです。「それを実現できる企業はどこなのか」を見極める目を養うために、大学での学びを深めていきましょう。

「内定」に翻弄されることなく、もっと、じっくりと、そして自信を持って、大学生活を充実させていく。大学のうちに身につけておくべきは、社会の変化を的確に洞察し、それに対応していくために自らの働き方や生き方を「アップデート」していく考え方の基礎を鍛錬しておくことです。社会の変化に対応するしなやかさ、やや専門的な言い方をすると、「プロティアン(自己を変芸させていく)キャリア」の素地を身につけていけば、企業は間違いなく、そんなあなたを「採用」します。

大学と企業は「次世代を育てていく」関係へ

企業の人事担当者の方は、学生獲得競争より、もっと大切なことを一緒に考えてみませんか。次世代を雇うことの意義は、彼ら・彼女らが力を最大限に伸ばし、集合的な力となって、企業を盛り上げ、そしてこの国を盛り上げていくことにあります。

そこに社会人としての背中を見せてください。早期採用の争奪戦に汗をかくなら、力をかしてください。採用という機会以外にも、大学やそれ以外の場所で「働くことのリアル」や、大学の4年間で「どんな学びが必要なのか」を伝えてほしいのです。「この学生いいな、うちの会社にきてほしいな」と思うのは人事担当者なら当然なことですよね。

結果的に、その学生が起業したり、ほかの会社に就職したりしても、いいじゃないですか。あなたが力をかした学生が成長した証なのです。さらに成長して、あなたがいらっしゃる企業に転職してくるかもしれませんし、会社は違っても、事業を一緒に作り出すこともあるでしょう。

「就活ルール」廃止をきっかけに考えるべきことは、大学と企業による<健全な関係>の構築です。「内定」という、たった一時期の「契約」をめぐり、消耗し合うのではなく、人生100年時代のより豊かな社会を構築するための基礎づくりとして、大学と企業が、本格的に協力しあい、次世代を育てていかなければなりません。もちろん、一筋縄ではいかないことです。