ファミマらしさの追求とは、単にモノを売るのではなく、ファミマならではのコトづくりを目指すことだ。例えば、店舗中央部の陳列棚を「もっと楽しくしよう」と、ファミマでは期間限定でたびたび、コッピーという小さな観賞魚を販売する。コンビニの枠にとらわれない動詞ベースのコトづくりの典型だ。

「コンビニはお祭りだ。誰もが元気になれる店をつくろう」――上田氏もその合言葉を掲げた。昨年秋、現場を回って、象徴的な加盟店に出合ったという。

「その店は秋なのに軒先に提灯がズラリ並んでいました。店長に聞くと、本当に1年中お祭りをやろうと思ったというのです。訪ねたのは10月末なのに、今年の節分に売る縁起物の恵方巻きの予約集め競争を店長、パート、アルバイトの全員でやっていました。腕章に各自の目標本数を書き、鉢巻きをして近所を予約取りに回ったりする。常連のお客さんも、今日は何本予約が取れたかと声をかけてくれる。お店全体が楽しい雰囲気に包まれていました。

その店は近所に競合店が出店していた。昔だったら戦意喪失です。でも逆に日販は上がった。競合店ができたことで、その店のよさがわかってもらえるようになり、差別化ができたのです。

元気を出し、勇気を奮い、夢をもつ。コンビニもタスポ効果が消える今年が勝負です。環境が厳しくなるほど、“元気・勇気・夢”をどれだけもてるかで差が出てくる。朝起きたら、鏡の前でこの言葉を念仏みたいに3回唱えてみる。そんな日ごろちょっとしたことが、やがて積み上がって大きな力に変わるはずです」

今年の新成人を対象にした大手コンビニに対する好感度調査ではファミマ支持がトップになった。お祭り的な雰囲気を敏感に感じ取るからだろう。

モノ売りよりコトづくりの上田流“お祭り”経営は明日すぐに数字が上がるものではない。ただ、厳しい今だからこそ、力を積み上げていけば、景気の回復時に大きく伸びる。浮き足立たない、足元がための経営が今求められている。

(勝見 明=インタビュー・構成 若杉憲司=撮影)