ご承知のとおりテレビCMなどで当社は「お、ねだん以上。ニトリ」というキャッチコピーを使わせてもらっています。扱っている商品の一つひとつが品質・機能のすべてにおいて「お値段以上」の価値がある。つまり「価格は安いけれど品質はチープではない」という意味です。そしてそのことについて、お客様が「お、」と小さな驚きを感じてくださる。

「なぜニトリは売れるのですか?」という質問を最近よくいただきますが、答えはこのことに尽きると思います。

接客技術に依存する姿勢は全くナンセンスだ

<strong>ニトリ社長 似鳥昭雄</strong>●1944年、サハリン生まれ。北海学園大学経済学部卒業後、67年「似鳥家具店」を創業。85年社名を「ニトリ」に変更。2002年東証一部に上場。09年2月期の連結経常利益は22期連続で過去最高になる見通し。
ニトリ社長 似鳥昭雄●1944年、サハリン生まれ。北海学園大学経済学部卒業後、67年「似鳥家具店」を創業。85年社名を「ニトリ」に変更。2002年東証一部に上場。09年2月期の連結経常利益は22期連続で過去最高になる見通し。

2009年2月期まで22期連続増収増益を続ける家具店チェーンのニトリ。「ユニクロ以上」とも評される製造小売業のビジネスモデルで快走中だ。08年からは「円高差益還元」をうたい四度にわたる値下げを敢行するなど、不況を追い風に終始攻めの姿勢を貫いている。

そもそも「売れる営業」「成績のよい販売員」に着目することに、どれほどの意味があるのでしょうか。よく「プレジデント」にも素晴らしい接客技術を持つ方が登場しますが、それが企業にとって本質的なことかどうかを考えなければいけません。僕はナンセンスだと思います。

なぜなら、その人の神業的な技術によって一店や二店なら繁盛店にすることができるでしょう。しかし、その技術を標準化しチェーン化することは不可能です。会社を伸ばすためには本質的なことではないのです。

その本質的ではないことに振り回されているのが日本の小売業です。「小売り=接客」という図式が当たり前のように信じられていますが、私にいわせればそれは誤解です。

小売業の理想は、接客がなくても売れる状態にすることだと思います。私たちはそれを、科学と論理によって実現しようとしているのです。