企画力増に莫大な資金社員をラスベガスへ
ただし、個々の商品を発売するか否かの決断は商品企画部門の責任者が行います。私が逐一、口出ししているわけではありません。
売れる商品を企画する社員には共通点があります。国内外の小売業や飲食業の店を常にウオッチしておき、そこで見つけてきた問題点やヒントを商品開発に生かしています。
これは企画だけではなくすべての部署についていえることですが、机上でマーケティング・データをもてあそぶのではなく、現場・現物・現実に接して発想するのです。そのうえで、観察力・分析力・判断力に優れた人が「売れる商品」をつくっています。
あくまでも現場中心で物事を考える。その姿勢を徹底させるため、当社では毎年数百人の社員をアメリカ西海岸へ視察研修に行かせています。たとえば08年なら新入社員300人超と、3年経過するごとに実施する選抜試験に通った従業員、そして店長や商品部の人たち総勢880人を2回に分けて、8泊10日の日程でロサンゼルスとラスベガスへ派遣しました。うち100人ほどはパート社員です。
現地では実際に小売店や飲食店を訪れサービスを体験させます。加えて朝と晩には座学の講義を行い、翌日に向けて宿題も出します。
いまさら外国へ連れていって何が学べるのか、という声も聞かれますが、とんでもない。いくらでも学ぶべきところは見つかります。大事なのは「学び続ける」ということです。だからこそ当社は、上場企業平均の4.5倍もの教育投資を行っているのです。
(面澤淳市=インタビュー・構成 若杉憲司=撮影)