高年収、短時間労働の職に就く技

もっとも経営者クラスになると、ワークライフバランスのうち「ワーク」が突出して多くなるのも事実。

「経営者を見ていると、ワークライフバランスがとれた人は少ないようです。かならず週末の2日間まるまる休んでいるような人は少数派でしょう」

取締役になれば、労働法上も「社員」ではなくなるので、休日が保証されるわけでもない。会社にトラブルがあれば飛んでいかざるをえない。

「勉強などの自己投資に時間を使う人も多い。上にいけばいくほど、『ライフ』の部分のウエートが軽くなる印象です」(武元さん)

そんな緊張感のある生活を送るよりは、家族と過ごす時間を充実させたり、趣味に時間を使いたいという人もいるだろう。その場合はどうすればいいのだろうか。

冨田さんは、ここでもPDCAの考え方が役立つという。

「ゴールから逆算して考えるといいでしょう。会社にしがみつかず、ワークライフバランスをとるには、長時間労働をしなくても一定の金額を稼げるだけの能力を身につける必要があるかもしれない。その能力が何かを考え、それを身につけるプロセスを計画に落とし込み、計画を実行したら振り返り、調整を加えていく」

あるいはいまの会社にいては長時間労働は避けられないから、転職をする方法もあるかもしれない。しかし転職して給料が下がったら、ワークライフバランスをとることはできなくなる。そこで短時間労働でなおかつ年収の高い業界や職種を探す。その仕事につくために必要な能力は何か、仮説を立てる。それが業界固有の知識ならそれを勉強すればいいし、業界に関係なく営業スキルが必要ならばそれを磨くということだ。

「目標や計画を立てる人は多いのですが、それをきちんと振り返り、次に生かす人は少ない。PDCAを実行することで、きっと目標を達成できるようになります」(冨田さん)

誓い:3
早期リタイアしたい

外国企業で働くか、起業するか

40代か、遅くても50代半ばには退職し、あとは好きなことをして暮らしていく。こんな生活を想像したことのない人はいないだろう。しかし武元さんは「早期リタイアというのは、日本には馴染まないのではないでしょうか」と異論を唱える。

AFLO=写真

欧米では、ビル・ゲイツのように早期リタイアをして、人生の後半はボランティアをしたり趣味を充実させたりして好きなように生きるのがいいという価値観がある。

そもそも早期リタイアをするには、巨万の富を得る必要がある。だが日本企業はどんなに会社に利益を与えた社員でも特別扱いしない。会社を辞めて遊んで暮らせるほどの退職金は出ないのだ。また国の政策としても、年金支給開始年齢を遅らせる準備として、定年を延長する動きが出ている。

「もっとも、若い世代はこれから変わってくるのかもしれません。外資系企業の日本法人は日本企業と大差ありませんが、本当の意味での外国の企業に勤めたり、あるいはベンチャー企業を起こしたりすれば、巨万の富を得る可能性もある。どちらを選ぶかは自分次第でしょう」(武元さん)