「ともに高年収層は出勤中の割合の高さが目立ちます。この傾向は夕方の退勤時も同様。特に、メールチェックに注目すると、高年収層は返信が非常に早いのだと思われます。マネジメントの肝である意思決定のスピードを重視しているのでしょう。逆にそうでない人たちは、仕事は会社で済ますものという、少し昔の固定観念を引きずっているのかなと思います」

amanaimages=写真

最近では「有能で収入が高い人ほどメールではなく、Facebookのメッセンジャーやチャットアプリを多用する傾向が圧倒的に強い」と吉沢氏はいう。リアルタイムでスピーディーにやりとりをして、一気に意思決定までもっていくのだ。

「メールの返信が翌日だと、正直、めちゃくちゃ遅いという感覚です。だったらもう違う人にお願いする、となり、ビジネスチャンスを失うことにもなりかねません。結論が決まらない中途半端な案件があると、そこに意識が残り、ほかの仕事に対する集中力や効率に悪影響を及ぼします。それを避けるため、仕事ができる人は、自分のところにきた球は、とにかくすぐ返すという意識が強いのです」

メールをチェックする時間帯を詳しく見ると、起床後、帰宅後、就寝前は高年収層と低年収層の差が、ほかに比べて小さい。

「高年収層は、質の高い睡眠を確保するために、あえてメールを控えていると思われます。このように、高年収層は、自覚して時間を区切り、メリハリをつけています。ネットはテレビなどと比べても中毒性が高く、無自覚でいると時間を奪われてしまうという恐ろしい特徴を、理解して使う必要があります」

意思決定のスピード感と、時間の使い方に対する強いこだわり。違いはそこにあるようだ。

調査方法●編集部とマクロミルで実施。個人年収500万円未満250人、個人年収1500万円以上250人から回答を得た。調査日は2017年5月24~26日。

吉沢康弘
インクルージョン・ジャパン 取締役
東京大学大学院工学系研究科修了。P&G、Human Value社を経て、ライフネット生命保険の立ち上げに参画。同社を経て、インクルージョン・ジャパンを創業。著書に『これからのエリートだけが知っている仕事の強みの磨き方』などがある。
(図版作成=大橋昭一 撮影=向井 渉 写真=amanaimages)
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