――その後は中東からアジアに移り、困難を極めたインドネシアの発電事業に参画する。

【兵頭】実はヨルダンのあと「自分の人生はこれでいいのか」とワークライフバランスに悩み、会社を辞めたいと周囲に相談していた。そのことをインドネシアにいた元上司が聞きつけ、「こっちにこないか」と誘われてジャカルタに出張した。元上司は「俺の仕事を黙って見ていろ」と半年ほど私を仕事に同行させた。現地の政府関係者などに「電力事業は、この国の発展を支える基礎づくりだ」と真剣に語る姿を見て、自分の視野が狭くなっていたことに気づかされた。社長就任時に「夢を持とう」「志を大切にしよう」とメッセージを発信したのもこの経験があったから。19年12月で住友商事は創業100周年を迎える。次の100年に夢と志を受け継ぎ、まずは当社がパートナーから信頼されるようになりたい。

仕事における熱意の大切さを説く兵頭社長は、既存領域の充実に加えて、AIやIoTなど技術革新が盛んな先端分野への投資に大きな意欲を示す。シリコンバレーやロンドンの拠点に大幅な権限を委譲し素早い投資を可能にするなど挑戦的な戦略と体制を打ち出している。11月13日(火)のイベント「PRESIDENT祭 逆転の発想で勝つ ビジネス大予測2019」では、兵頭社長がA.T.カーニー日本法人の梅澤高明会長を迎え、世界経済の最先端の潮流、そして日本企業が第4次産業革命にどう対応すべきか、その戦略について語ります。

▼社長への質問
1 出身高校
千葉県立千葉高等学校
2 長く在籍した部門
インフラ事業部門(電力)
3 座右の書
『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』
4 座右の銘
夢なき者に成功なし
5 趣味
ゴルフ
兵頭誠之(ひょうどう・まさゆき)
住友商事社長
1959年、愛媛県生まれ。84年、京都大学大学院工学研究科修了後、住友商事入社。インドネシア住友商事社長、電力インフラ事業本部長、経営企画部長などを経て2017年に専務執行役員、18年6月より現職。
(文=Top Communication 撮影=市来朋久)
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