リケジョは就職定着率も、出産後の就業継続率も高い

【2:リケジョのライフコース】

「2015年調査」によれば、3年後に同じ企業で働いていた女性の割合は、文系で56.1%、理工系で63.9%であり、理工系は定着率も高い傾向があります。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Ca-ssis)

一方で、退職した女性の退職理由を比べると、両者ともに、最も多いのは自己都合による転職(約8割)で、続く項目は「結婚または出産」で、その比率も約1割とほとんど差がありません。

出産による変化という点では、第一子出産後も辞めずに同じ仕事を続けた女性は、文系(49.6%)より理工系(65.3%)のほうが多くなっています。

また、専業主婦になった女性は、理工系(29.5%)よりも文系(41.4%)のほうが多いことが明らかになっています。理工系は文系に比べて、就職後の定着率だけではなく、第一子出産後の就業継続率も高いのです。

こうした違いが生まれる理由として2つ考えることができます。

1つ目は、文系女性と理工系女性の意識の違いです。同調査では、「昔はともかく、今は女性であっても、男性同様に働くのが普通だ」と考える女性は、文系(61.0%)よりも理工系(72.6%)のほうが多くなっています。

2つ目は、就職する職種の違いです。前述したように、文系女性よりも、理工系女性のほうが専門性を活かせる職種に就職する割合が高くなっています。その分、就職後の仕事内容と自分が期待していた仕事内容のミスマッチが少なくなると考えられます。また、専門的な知識を活かして働ける分だけ、自分のペースで仕事ができ仕事と家庭を両立しやくなるはずです。

「仕事の進め方は自由に決められる」文系33%:理工系41.3%

【3:リケジョの職場環境】

2016年に女性活躍推進法が施行され、多くの企業が女性の活躍に向けて取り組むようになりました。「2017年調査」で就業している女性に職場環境について尋ねたところ、「満足である」と回答した女性は、文系40.4%、理工系52.2%と、ここでも差がついています。

また、「自分が担当している仕事は興味・好奇心がかきたてられている」と回答したのは文系31.4%、理工系37.0%。「仕事の進め方について、自由裁量が与えられており、自らの考えに基づいて、仕事を進めることができる」と回答したのは文系33.0%、理工系41.3%でした。文系に比べて、理工系は裁量が与えられ、好奇心を持って仕事に取り組めている人が多いようです。

一方で、「勤め先は出世や昇進において男女間で差があると感じている」と回答した女性は、文系25.2%、理工系19.6%。「自分が担当している仕事は、忙しく、仕事以外の時間が十分に確保できてない」と回答したのは文系21.3%、理工系15.2%となっています。

理工系女性が勤める職場は、高い専門性が求められる分、男女(性差)での仕事内容の差は少ないと考えられます。その分、業務も多忙になりそうですが、実際には文系女性のほうが、より「時間に追われている」という結果でした。