「コツコツ投資」で、資産の守り方を学ぶ

第三のポイントである投資は、いくつかの目的があります。まず、退職金というまとまったお金を手にする前に、資産運用について勉強することです。そして、自分が投資に向いているかどうか、退職金を手にする前に判断しておきましょう。

たとえば毎月5万円ずつ貯金できるのなら、そのうち1万円を投資にあててみます。おすすめは「インデックス・ファンド」。これは市場の平均値と同じ値動きになることを目指した投資信託で、信託報酬が安いのが特徴です。「日経平均」や「NYダウ平均株価」などと緩やかに連動するので、経済関連のニュースがより身近に感じられるはずです。このとき「日々の価格変動が気になってほかのことが手につかない」という人は投資には不向きです。市場は経済ニュースに応じて、必ず上下に変動します。一喜一憂せず、悠然と構えるのが投資の王道です。

また賢い投資家ほど「リスク分散」を考えます。一般的なのは、国内・海外、株式・債券で資産を4分割する手法です。そのうえで、退職金が手に入ったタイミングで一気に購入するのではなく、毎月コツコツと分割して購入します。退職前から投資信託を積み立てていた経験があれば、こうした分割購入も抵抗なくできるでしょう。

▼リスク分散の基本「資産4分割」
国内株式:25%
海外株式:25%
国内債券:25%
海外債券:25%

投資の基本は「リスク分散」。そのためには国内・海外、株式・債券で「4分割」する手法が一般的。投資初心者は、市場の平均値と同じ値動きになることを目指した「インデックス・ファンド」から始めるのがいい。

証券会社は「投資信託でインフレに備えよう」などと宣伝していますが、退職金をまるごと預けるのはハイリスク。一気に増やすことより、コツコツと守る方法を考えましょう。

横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント
ファイナンシャルプランナー。マイエフピー代表として1万人以上の家計を再生した実績をもつ。
 
(構成=小澤啓司 写真=iStock.com)
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