『「学力」の経済学』(中室牧子著、ディスカヴァー・トゥエンティーワン)によると、「もっとも収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)」とのことです。早期に得たスキルやしつけなどはその後の人生で長い間役に立つことになるからです。

ベースになる語学に関しては早期から行うほうがそのスキルを活かしてディスカッションやプレゼンテーションをしたり、論文を書いたりするなどの機会が増えます。実際にシンガポールで教育を受けている4歳のわが子も英語と日本語のバイリンガルで、日常会話は両言語で支障なく話せます。中国語も簡単な単語などは話すことができています。

また、大人と対等な会話をするようになるので子供を日本に連れて行くと驚かれることがよくあります。1歳からシンガポールで育っているので、日本語を話すものの感覚が半分外国人だからでしょう。

2歳児の英語力は「天気について話し合う」レベル

日本でも2020年の教育改革が話題になっていますが、それでも語学教育などかなり後れを取っていると言わざるを得ないでしょう。「天気について英語で話し合う」といった基礎的な英語は、シンガポールの教育では2歳児レベルの内容なのです。3歳児くらいからは歌などで中国語も学びます。シンガポールでは英語と中国語をベースにして、これからどうやってIT教育を行っていくのかを議論している段階です。すでにIT教育のプログラムも幼児教育の中で実践しています。

「AI時代の教育について」がテーマの保護者と学校との会合や富裕層の会員クラブの催しに参加したことがあるのですが、「弁護士も職を失うAI時代にどのようにして子供たちを育てていけば良いのか」について、世界中から来ている人々が活発に意見を出し合い、議論をしました。シンガポールの魅力の一つに“ダイバーシティ”があります。