丸腰で儲け至上主義の金融機関に丸投げは避ける

■パターン2 金融機関は「あなたの利益」を優先して考えてはくれない

例えば、靴を買うとき、靴店のスタッフに質問をしながら選ぶのはごく当たり前のことです。では、株や投資信託を買うときに金融機関の担当者に「今のオススメは」と聞いてもいいのでしょうか。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Warchi)

答えはシンプルです。オススメできません。なぜか。靴のような消耗品の場合、それは文字通り消費して消えていくものですから、失敗してもあきらめがつきます。「今日は旬のサンマがオススメ!」と言われて買ったのに味がいまひとつだったとしても、損は数百円でしょうし、明日は別の食材を買えばいいだけのことです。

しかし投資の場合は違います。投資額は数百円ではなく万単位になります。また投資の仕組み上、元本を増やすことは、次の投資の準備になりますから、「大損したけどまあいいか」というわけにはいきません。

金融機関の営業マンが、どれだけマジメで一生懸命に見えても、彼らの目的は顧客を儲けさせることではなく、自分たちが儲けることです。

金融庁が大手銀行9行や地方銀行20行の窓口で投信を買った客全員の今年3月末と購入時の投信の評価額を比べたところ、顧客が払う手数料も引き、実質的な「手取り」を試算すると、驚くことに46%の人の運用損益がマイナスで損をしていたというのです(6月29日に公表の資料)。

しかも金融庁の分析では、手数料が高い投資信託を提案しても、実質は高いリターンの保証にはなっていないこと、短期売買を促していると考えられる銀行ほど元本割れの可能性が高いことなどが明らかになっています。

言い換えれば、多くの銀行は、販売手数料や高い運用手数料(信託報酬)を目当てに投資信託の提案をしているとデータが示しているわけです。知識があるならともかく、知識がないのに金融機関に丸投げするのは避けるべきです。

■パターン3 友人は相談相手としては「難しい相手」である

では、友人に相談するという方法はどうでしょうか。

友人の場合、金融企業の担当者と異なり、利害関係はありません。懸念は、相手がプロであろうと素人であろうと、きちんと応じられるか。ここがポイントになります。

つまり、相手がプロ(金融機関の社員、ファイナンシャルプランナーなど)であれば、それは「知識やノウハウをタダで分けてもらっている」ことになります。本来であれば有償でアドバイスを求めるべきです。

相手が素人(あるいは素人ながら投資を積極的にやっている人)の場合は、どうでしょうか。前提として、素人の投資自慢を真に受けるべきではありません。そういう人は、儲かったときの事例を自慢することはあっても、うまくいかなかったときの事例は話さないのが常だからです。

仮に相手の話に説得力を感じても、喫茶店や飲み会の場で投資のコツを教わるのは難しいと考えるべきです。「ちょっと教えてよ」と言って教わることができることには限界があります。本当に教わるつもりがあるなら、しっかり時間をとるべきです。

また友人に教わった、「短期で儲けられる話」を実践し、その結果が大損だった場合、友情関係にもヒビが入ってしまいかねません。友人のほうからコンタクトをとってきたと思ったら、あやしい金融商品の販売を持ちかけてくることもあります。友人を相談相手にするということは、そうしたリスクも考えておいたほうがいいでしょう。