LINEは8月1日から、通常は決済額の2.45%が店舗側にかかるLINE Payの決済手数料を0%とするキャンペーン施策を開始した。期間は2021年7月31日までの3年間。加盟店が無料の店舗用アプリを利用し、且つQRコード決済を選択した場合に限る。

従来、クレジットカードや「Edy」などの電子マネーによる決済を導入しようとすると、1台数万円の決済端末を必要とし、さらに1決済ごとに3%台前半の手数料がかかっていた。今回の施策は、そうした店舗側の負担をゼロ円にするというものだ。

この施策を発表したのは今年6月末に開催した「LINEカンファレンス」の場。その前日、同じくQRコード決済を普及させようと務めている金融関連ベンチャーのメタップスが「決済手数料を0.95%にする」と打ち出し、ネット上では驚きをもって伝わったのだが、LINEの「0%」はそれを一瞬にして吹き飛ばす威力があった。

“店舗は3年無料、顧客は最大5%還元”という破格の条件

店舗のメリットは大きい。導入にはスマートフォンやタブレット端末が1台あれば良い。無料の店舗向け決済アプリをダウンロードし、アプリから加盟店申請を行い、審査に通ればLINE PayのQRコード決済を受け付けることができる。決済時には顧客のLINEアプリの中にある「コード」を画面に表示してもらい、それを店舗向け決済アプリで読み取って金額を入力するだけで処理が終わる。今後3年間は、その全ての機能がタダで利用できる。

顧客にもメリットがある。LINEユーザーはあらかじめ「LINE Pay」の登録を済ませ、銀行口座を連携するなどしてお金をチャージしておく必要がある。だが、最初の手間さえ乗り越えれば、極めて簡単な動作で現金いらずのQRコード払いを利用できるどころか、買い物ごとに3.5%~最大5%ものポイントが付与される。

クレジットカード利用時のポイント還元率は平均で0.5%。1%でも高いといわれる中で、LINEは破格の還元率を打ち出した。いったい、なぜこんなことをLINEは始めたのか。