通帳一冊につき200円の印紙税

「そこでコスト削減の切り札として導入に躍起なのが、金融とAI(人工知能)などの技術を融合させたフィンテックだ。独自の仮想通貨の開発や、いままで人手に頼ってきた窓口や融資の審査業務に導入するなど、思い切ったことをしないと生き残れない時代になっている」と銀行出身である経営コンサルタントの小宮一慶さんは語る。

時事通信フォト=写真

三菱UFJは国内516店舗(17年9月末現在)のうち70~100店舗を、24年3月期末までに「機械化店舗」にする計画だが、これはフィンテック導入の具体的な姿といえる。また、通帳一冊につき200円の印紙税がかかっていて、15年度に銀行業界全体で約726億円も納税している。フィンテック導入で“通帳レス”になれば、負担減が期待できる。

公認会計士の林總さんは「フィンテック導入で固定費が下がれば、当然、損益分岐点が改善する」と指摘する。しかし、業務量が減った行員は何をするのか――。そこで己の力量や真価が問われることは間違いない。

伊奈伸一
UBS証券シニアアナリスト
 

小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント
1995年に小宮コンサルタンツを設立し、代表取締役会長CEOに。著書は130冊を数え、累計発行部数は360万部を超える。
 

林 總(はやし・あつむ)
公認会計士
外資系会計事務所、監査法人勤務を経て1987年独立。著書に『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』など。
 
(撮影=石橋素幸 写真=時事通信フォト)
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