経済ニュースの本質を見極めるにはどうすればいいか。役立つのが「会計」だ。会計ではモノの動きと時間の流れを「金額」で整理していく。それが理解できると「ウラの裏」がするすると見えてくる。雑誌「プレジデント」(2018年3月19日号)の特集「会社の数字、お金のカラクリ」から、記事の一部を紹介しよう。今回は「トヨタとWACC」について――。

キャッシュ豊富な「トヨタ銀行」がなぜ“借金”をするのか

日本を代表する企業であるトヨタ自動車――。同社が「トヨタ銀行」とも呼ばれるのは、1兆8311億円(2017年3月期)という純利益を稼ぎ、手元に豊富な資金を抱えているから。同期の現金と定期預金の合計額は4兆776億円で、中位の地方銀行の預金量とほぼ同水準である。

そのトヨタが17年6月2日払い込みで合計1000億円もの社債を発行して注目を集めた。設備投資への充当が目的だが、「4兆円を超える現預金があるのなら、そこから手当てしても十分に残るはず。社債を発行する必要があるのか」と思うのも道理だろう。

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