本気で怒るときほど理詰めで

私のように怒るべきタイミングで素直に怒ることができる人はともかく、なかなか怒ることができず、怒りの感情を溜め込んでしまう人は、一体どうすればよいのだろうか。

「後から来る怒り」のジレンマから抜け出し、その場で怒りを爆発させるには、ちょっとしたコツがある。それは「本気で怒るときほど感情的にならない」ということだ。逆説的に聞こえるかもしれないが、怒るときは「とにかく理詰めで」ということに尽きる。

怒るかどうかを判断する際に重要なのは、以下のポイントである。4つあれば十分だ。そのうえで「よし、いまから怒りを噴出させてやる」と冷静に決断し、激怒する。

【1】怒るに値する酷い仕打ちをこれまでに受け続けてきた。証拠もある。
【2】自分がここで激怒しても、共通の知人は自分に分があることをわかってくれる。
【3】自分は滅多なことでは怒らない人間であることを、共通の知人は知っている。
【4】目の前にいるこの人間と縁が切れても生活に支障はない。
【5】共通の知人は、この人物に横暴な面やパワハラ気質があることを知っている。
【6】この人物とこれからも付き合うことこそ、ストレスの元凶になると判断できる。

怒りの導火線に火を付けるまでの所要時間は2秒

もうひとつ重要なのは、相手から何かキツいことを言われたときに「えっ?」と面食らうことなく、「なぬ!」と正面から受け止めて、怒りの導火線に即座に火をつけることである。決して難しくはない。相手の発言に感情的に反応してしまうから「えっ?」と怯んでしまうのであって、冷静さを失わなければ「はい、来た」と受け止めることができるはずだ。ビビる必要はまったくない。

「なぬ!」から導火線に着火するまでの間は2秒程度でよいだろう。その間に上記【1】~【6】を素早く判断し、即座にキレて、相手に絶縁宣言をするのである。あとは、本来もらうべき報酬などをキチンと回収するまで、淡々とやり取りを続ければよい。

たぶん、これはクレーマー対策やモンスタークライアント対策などでも使えるテクニックだろう。理不尽な要求をしつづける人物は、意識的にしろ無意識的にしろ、こちらのことを甘く見ている。そうした連中には、冷静かつ毅然とした態度がいちばん効くものだ。

それまで自分に対してペコペコしたり、唯々諾々と従ってくれたりした人間が、いきなり「わかりました。ならば、もう御社との付き合いは終わりにしましょう。とりあえず、今月分までの仕事はさせていただきますが、来月からはナシということでよろしくお願いします」と反旗を翻すのだから、これは効く。