「昨日もクマバチを捕りに行きました」

――人間が「害虫」「益虫」などと虫を区別するなんてもってのほかですか?

【香川】冗談じゃない、と思うよね。人間が間違えた感覚の一つなんじゃないかな。「虫も食わない」という言い方があるくらいで、ツルツル、ピカピカの野菜のほうがどうかしている。虫食いだらけのキャベツの葉なんて、最高にうまいはずです。

人間は「すべての生物の一番上位に立っていい」と言われ、すべての生物を食べることを許されました。その代わり「“感謝”しなさい」ということで「心」を与えられたわけです。ところが、すべての生物を食べることだけを当たり前のこととして、感謝の心はどこかに置き去りにしてきた。

写真=iStock.com/KATSUMI NAKAMURA

昨日もクマバチを捕りに行ったのですが、クマバチはフジの花との共生関係がすごく密接なんです。大きいクマバチの体がミツをすうときにちょうど花粉に触れる構造になっていて、ミツバチやスズメバチの大きさでは受粉しません。地球がクマバチをつくった理由、フジの花をつくった理由、それらが互いに栄えることによって、世代をつないでいっている理由があると実感できます。

 

国立科学博物館の特別展「昆虫」のオフィシャルサポーターに就任

――昔と比べて虫が減ってきているのか、今の子はあまり虫捕りしないようです。子供たちに伝えたいことは?

【香川】本来、地球のあるべき姿というのは地面であり野原であり、土であり岩であり――。ところが、本来あるべき地球の姿の上に、本来いるべき生物の姿を見る機会がどんどん少なくなってきています。でも、やっぱり野原や土があるところへ行って、土に汚れたり、川にジャブッて入って体をぬらしたりして、“服”を着ていない地球とちゃんと向き合ってほしいですね。そして、この地球こそがわれわれも含めて生命の源であることを感じてほしい。

そもそも、地球が太陽のまわりを寸分の狂いもなく、自転しながら公転しているなんて奇跡的。地球がヘソを曲げて、それを狂わせた瞬間にすべては終わってしまうわけですよ。なのに、地球は何億年も寝ずに動いている。「ちょっとは休みたかろ?」「違うところへも行きたかろ?」と思うけど、地球は耐えている。すごいことです。

今、虫たちは、「またビルが建ったよ」などと悲しみながら、自分たちの生命の危機を感じて鳴いたり叫んだりしていると思うんです。この夏、私がオフィシャルサポーターを務める国立科学博物館の特別展「昆虫」では、昆虫の能力を体感でき、採集や標本作りなど昆虫のあらゆる魅力を学べます。私もあるコンテンツを提供しています。これらの虫の姿を通じて、この地球に、感謝の思いをめぐらせてほしいですね。

香川照之(かがわ・てるゆき)
俳優
1965年生まれ。89年俳優デビュー。映画賞を多数受賞するなど、演技力には定評がある。NHK Eテレの教養番組「香川照之の昆虫すごいぜ!」では自ら着ぐるみを着てカマキリ先生となり、昆虫の生態や魅力を紹介し話題に。昆虫愛が高まり、東京・上野の国立科学博物館で開催される特別展「昆虫」(7月13日〔金〕から10月8日〔月・祝〕まで開催)のオフィシャルサポーターに就任。

「プレジデントFamily2018年夏号」では、本記事で紹介できなかった香川照之さんへのインタビューのほか、特集「『熱中する子』がグンと伸びる!」内で、子供が何か没頭し夢中になることができる家庭の「3つの秘密」や、夏休みに親子行きたい自然遊びスポット(例:地底探検、天空の花畑、珊瑚の島)などを掲載している。ぜひ、手にとってご覧いただきたい。

(構成=小澤啓司 撮影=干川 修 写真=iStock.com)
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