メディアは「女性医師が安心して働けるような体制整備が必要」と声高に唱える。そのために、医学部には税金を投入せよという声まで聞こえてくる。こんな焼け太りを許してはならない。

東京医大は豊富な資金を持つ。それにもかかわらず30代の若手医師を月給20万円で、1年更新で契約させるなど論外だ。また関連病院に出向する場合、最初の半年間は「仮採用」で年休もとれない。育休・産休を議論する以前の問題だ。

大学病院を医学部から分離することも考えるべき

東京医大病院の経営者がやるべきは、女医を含め、若手医師にまともな給与を保証することだ。女性医師は、その給与のなかから自分に合った育児サポートを選択すればいい。

大学教育とは何だろう。それは学生を育てることだ。それは医学部だろうが、他学部だろうが関係ない。ところが、東京医大は学生を、自らが経営する大学病院の「従順な労働者」としてしかみていないようだ。そして、このような体質を厚労省や文科省も応援してきた。

この問題を解決するには情報公開を徹底し、国民的に議論すべきだ。さらに、大学病院を医学部から分離する、あるいは卒業生の入局を制限するなどの対応も考えるべきではないだろうか。

もちろん、東京医大の不適切な減点措置に対しては、民事責任、刑事責任を追及することを考慮すべきだ。この期に膿を出し切らねばならない。

近年、大学医学部では不祥事が続発している。今こそ、学生教育という本来の目的に立ち返るときではないだろうか。

(写真=時事通信フォト)
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