「定額制使いたい放題」で女医は子育てどころか過労死寸前
【2018年開始の新専門医制度でさらなる医師不足】
しかし、厚労省はこの制度を止めるどころか、日本専門医機構という第三者機関を増設することで、2018年度から「新専門医制度(卒業後3~5年目を対象)」を追加している。
一期生では「22%が東京に集中」「内科・外科が激減」「小児科562人中、東京130人、佐賀・徳島ゼロ」と、若手医師が多忙科や地方を避ける動きに拍車がかかったように見える。
だが専門医機構は「東京に医師が集中する傾向は見られない」と公言しており、中止する気はないようだ。このままでは水面下での女性排除は、今後もさまざまに形を変えて、より巧妙な形で残ってしまうのではないだろうか。
【結語】
今回の東京医大の事件は、単純な「女性差別はけしからん」で終わらせず、医者の働き方改革や医師養成制度の見直しにつなげて考えるべきだろう。私がフリーランスになったのも、従来の「定額制使いたい放題」のようなシステムでは、子育てどころか過労死しかねないと思ったからである。
女医の産・育休、時短を周囲の無償労働で補う現状は、長い目でみると女性を排除する方向に働く。男女ともに少ないストレスで働けるようにするためには、働きに応じた報酬システムや、フェアな競争環境を整えることが必要だ。それこそが真に有効な女性活躍につながると確信している。
(写真=iStock.com)