女性が医大で敬遠されるのは女性の責任なのか

【医大入試は就職試験?】

日本では医大を卒業した若手医師は、出身医大の附属病院に就職することが多い。いわゆる「医局」に入るのだ。医学部の附属病院を経営するには、そうした若手医師の存在が欠かせない。東京大学のような名門医大ならば全国から研修医を集めることが可能だが、東京医大のような中堅私立医大では自校出身者をマンパワーとして確保する必要がある。つまり日本の医大入試には附属病院の就職試験のような意味があり、法科大学院のような純粋なライセンススクールの入試とは、異なっているのだ。

【女性が医大で敬遠されるワケ】

日本の大企業が総合職採用で、男性を優遇し、女性を敬遠する面があるように、病院においても女医は敬遠されがちである。

写真はイメージです(写真=iStock.com/szefei)

その理由のひとつは、産休・育休・時短によって勤務シフトのマネジメントが煩雑になることだ。女医が産休・育休を取得しても、患者数や手術件数を減らすことは難しい。よって、誰かがその女性の業務を代行しなくてはならない。

日系の大企業と同様に、周囲の男性医師や独身女医がカバーすることになるが、その結果、男性医師や独身女医が過労死寸前まで追いつめられることも珍しくはない。

近年では、女医の産・育休、時短の権利も認められるようになり、出産後に復職する女医も増えているが、産前と同じレベルで働けるほど保育環境は整っていない。

また、女性医師は眼科・皮膚科のような「マイナー科」と総称される、比較的仕事が楽な専門科を選ぶことが多い。大学病院のような総合病院では、重症・手術・救急のようなハードな分野で働く人材が必須だが、女性医師はこういう分野を避けがちなので、外科のような不人気な多忙科が、さらに激務になるという負のスパイラルに陥ってしまうのだ。

【ゆるふわ女医の脅威】

最近では、「ゆるふわ女医」と呼ばれる残念なタイプの女医も目立つようになった。医師免許をゲットしたあとは、スキルを磨くよりも医師夫ゲットに励み、「医師・医師婚」に持ち込み、産休・育休を取得する。

出産後に復職しても「当直いたしません」「手術いたしません」「地方勤務はいたしません」「重症患者や5時以降は診ません」「土日の呼び出しは一切応じません」「文句をいうのはマタハラです」と主張する。決して多数派ではないが、そうして都会のタワーマンションや高級住宅街のセレブ生活を目指す女医は実在する。

メディアは「医師夫を持つ優雅なママ女医」を「勝ち組キラキラ女性」として取り上げる傾向がある。一方、その陰で「当直月10回の独身女医」などは無視されてしまう。極端な話、独身女医は過労死でもしない限りメディアには登場しない。そんな非情な「女女格差」が存在する。

こうした事実を知れば、一部の女性研修医が、研修よりも「院内婚活」に励むことになるのは仕方がない。また女医の扱いに困った大学病院の関係者は、「女医は面倒くさいから入試の段階で減らしてしまえ」と考えるようになる。

今回の東京医大の不正入試問題の関連報道には「(医師の)女3人で男性1人分」という報道もあったが、こういう現状を考えると暴論とは言えないのかもしれない。