異なる民間検定を同列に扱う指標は、CEFR(セファール、ヨーロッパ言語共通参照枠)を使う。移行期間には、この民間検定と、従来のセンター試験に近い、全国一律同時刻に50万人規模が受ける『読む・聞く』の2技能を問う英語の共通テストが併用される。
「受験生が民間検定を受ける際に申請すると、検定団体から大学入試センターへと成績が送られ、そこから受験生が志願した大学に、共通テストの成績と一緒に送られます。ちなみに2回受験した場合、成績のいいほうだけを大学に送るのか、2回分の成績を送るのかはまだ明らかにされていません」(渡辺氏)
この移行期間を経た24年度以降は、共通テストを廃し、民間試験へ全面移行するという。
教員の指導力の“一律アップ”は無理
各大学が決める採点上のウエートが気になるが、日本経済新聞・朝日新聞が国立大学協会(国大協)の指針として「最大で1割弱」と報じた(各18年2月17日・21日付朝刊、国大協は否定)。これが本当なら、民間検定のウエートは小さい。18年3月10日、福田裕穂・東大副学長が会見で東大の合否判定には民間検定を使わないと表明したことの影響も小さくない。
「過渡期においては、様子見もあって、ウエートは小さくならざるをえないのかもしれません」(渡辺氏)
18年2~3月、全国約6300人の高校生を対象に行われた英語の共通テストの“プレテスト”は、今後の出題内容を占う意味で注目された。
「お試しとはいえ、4技能を統合した授業を履修してほしい、履修しなければ解けないというメッセージを込めようとしたのでは」(渡辺氏)
もっとも、すでに書く問題、考えさせる問題を入試に取り入れている大学もある。
「“書く”問題といっても、従来の和文英訳問題とはまったく異なります。英語で要約したり、自分の意見を論理的に伝えることが求められる問題が出題されています」(三石氏)
近年の東大や早大、慶大などの入試問題(図4参照)がその例だ。先々こうした問題が頻出するようになるに違いない。各大学の入試におけるこうした自発的な変化は、大学自体がグローバル化へ向けて大きく変わろうとしている表れでもある。