お互いに褒め合い、リツイートで支え合う“互助会活動”

【宮崎】フォロワー数って、リアルで有名になったら増えるものだと僕は素朴に思っていたのですが、人気が人気を呼ぶみたいな、身も蓋もない現状がツイッター上にはあって……。

【中川】それは、どういうことですか?

宮崎智之『モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ』(幻冬舎文庫)

【宮崎】読モライター同士が相互で言及し合うことによって、「この人は人気者なんだ」と思わせて、そう思った人がまた読モライターについて言及して……みたいな感じでフォロワーが増えていくんです。そういう意味では、株式操作にも似ていて、実態がなくても雰囲気が醸し出せれば人気が高まっていく、みたいな現象が一部ではあります。

【中川】あー、読モライター同士がお互いにSNSで褒め合い、チヤホヤし合い、記事を互いにリツイートし合うSNS互助会的なやり取りですね。

【宮崎】そう、それです! そういうやり取りを繰り返していくと、次第にフォロワー数が多いという理由で、フォロワー数が増えていくようになる。僕も相互言及の手法を真似してフォロワー数を増やそうと、さもしい策略を練ったのですが、こういう批判的なことばっかり言っちゃうから、僕について言及してくれる人の数が少なくて、あまり上手くいっていないという(笑)。

ヌルい関係になれば、是々非々で批判できなくなる

【宮崎】そう言えば、つい最近、ツイッター社が偽アカウントを削除する方針を打ち出して、一部のインフルエンサーが阿鼻叫喚するなんてことも起こりました。あの一件で、少しは流れが変わってくるかもしれませんね。

【中川】相互言及とかRTで支え合う、読モライター互助会みたいなものの何が問題なのか。それは、ただお互いを褒め合っているだけのヌルい関係になってしまうと、相手を是々非々で批判できなくなるということです。そんな馴れ合いは、物書きにとっていいことではありません。

あと、いくら読モライター互助会でPVを稼いだところで、その記事を読んでいるのが互助会のお仲間か、互助会員たちに憧れている“読モライターワナビー”みたいな連中ばかりだとしたら、あまり意味がないんです。読モライターは広告タイアップ記事をよく手がけていますが、拡散するのは互助会とその周辺ばかりで、クライアントが本来広めたいと望んでいる一般のネットユーザーには刺さっていない可能性もある。ターゲット分析は当然やっているだろうから、刺さっていると思いたいところですが……。

さらに言ってしまうと、そもそもライターって、年長の人気ライターとか、同年代や年下の売れっ子ライターのことを、勝手にライバル視して「とっとと失脚してしまえ!」なんて念を送るくらいでないとやっていけない職業だったと思う。俺なんて、30歳のころは「さっさと、その連載コラム枠をよこせよ」とか、いつも考えてましたよ。当時、同業者の友人は3人しかいなかった。まぁ、時代は変わるものなんでしょうけどね。どうでもいいや。

【宮崎】枠を取りに行くみたいな発想は、もう若いライターにはなくなってきているんだと思いますよ。少なくても昔ほどには。たとえば、いつか週刊文春のコラム枠を取りたい、みたいな野望はあまり感じられない。もちろん、全員がそういうわけではないと思いますが、それよりもフォロワーを増やしたい、そのためにはお互い仲良くするのが一番、ってことなんじゃないでしょうか。別に、SNS上で褒め合うのは悪いことではありません。ただ、本当にいいと思ったものだけを褒める、という姿勢を忘れないでいたいですね。(後編につづく)

宮崎智之(みやざき・ともゆき)
ライター
1982年生まれ、東京都出身。地域紙記者、編集プロダクションなどを経て、フリーライターに。カルチャー、男女問題についてのコラムのほか、日常生活における違和感を綴ったエッセイを、雑誌、Webメディアなどに寄稿している。ラジオなどのメディアやイベント出演も多数。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
ネットニュース編集者/PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。

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