「有名人」としてはどう頑張ってもEランク

【中川】広告業界には、有名人のランク付けがあります。仮にS、A、B、C、D、Eとクラス分けされたランキングがあったとしたら、ピラミッドの頂点に位置するSはとびっきりの有名人、たとえば吉永小百合さん、有吉弘行さん、マツコ・デラックスさんあたりが、ここに該当する。ところが読モライターは、そのランク付けのなかではどう頑張ってもEランクなんですよ。そしてEランクはもっとも数が多い。

ライターの宮崎智之氏

【宮崎】最近では、Sランクの有名人がSNSをやるようになってきましたから、余計に競争が熾烈になっていくでしょうね。読モライターは、そういう競争に巻き込まれていることを自覚したほうがいい。

【中川】一方、仮に物書きのランク付けがあるとしたら、俺らはB、Cランクくらいにはいっているかもしれない。しかも、物書きは年をとってからでも伸びることがあるので、将来的にはAも狙っていける可能性がある。フォロワー数を気にして、「自分はライターになれないんでしょうか?」と心配するくらいなら、一発、「大宅壮一ノンフィクション賞」でも狙ってみろよ、と思います。

【宮崎】たとえEランクから出発したとしても、物書きとしてのライターなら、その先にいける夢は持てますもんね。

自信の根拠は「ツイッターのフォロワー数」

【宮崎】ここ数年、あまりにも読モライター的なコンテンツが前景化してしまったから、これからライターを目指すような若い人には、物書きとしてのキャリアを想像することが難しくなっているんだと思います。ちなみに、僕にはいつか「新語・流行語大賞」をとってみたいという野望がありますが、「読モライター」という狭い業界の一部で話題になった言葉じゃあ無理ですね。

【中川】俺が読モライターにもっともモヤモヤしているのは、紙メディアをバカにしているところですよ。あと、ウェブで顔出ししないおじさんやおばさんのライターのことは、時代遅れのオワコンだと思っている。そしてウェブを主戦場に、顔出し記事でキラキラと活躍している自分たちのようなライターこそ、これからの時代にはメインストリームのライターになるのだと言い張っている。そんな奇妙な自信の根拠になっているのが、ツイッターのフォロワー数です。

【宮崎】僕が最初に「読モライター論」の記事をウェブにアップしたときも、「フォロワー数3000人程度のヤツが偉そうに言うな」という批判がありました。たしかに当初、ウェブにあげた記事は、いろいろと脇があまい部分がありましたから、今回の本でだいぶ補足して、論を強化しましたけど。

【中川】フォロワー数を気にするヒマがあるなら、まずは書き手としての実力をつけろよ。本当になんなんだろうな。